「農民」記事データベース20110103-955-03

日本医師会がTPPで異議

国民皆保険の崩壊につながる


 日本医師会は昨年12月1日、「日本政府のTPP参加検討に対する問題提起」と題する見解を発表しました。

 見解では、日本がTPP参加を決定し、自由化の例外が認められないことになれば、「日本国内にひずみが生じるおそれがある」とし、それは「たとえば、規制改革という名の下での、社会保障の後退である」と述べています。

 また、「TPPへの参加によって、日本の医療に市場原理が持ち込まれ、最終的には国民皆保険の崩壊につながりかねない面もあると懸念される」と指摘。「日本医師会は政府に対し、TPP参加の検討にあたり、国民皆保険を一律の『自由化』にさらさないよう強く求める」と表明しています。

 さらに、日本が今後、TPPに参加した場合の懸念事項として、(1)日本での混合診療の全面解禁により公的医療保険の給付範囲が縮小する、(2)医療の事後チェック等により公的医療保険の安全性が低下する、(3)株式会社の医療機関経営への参入を通じて患者の不利益が拡大する、(4)医師、看護師、患者の国際的な移動が医師不足・医師偏在に拍車をかけ、さらに地域医療を崩壊させる、の4点をあげています。

 見解では、医療への株式会社の参入が、医療の質の低下、不採算部門からの撤退、患者の選別、患者負担の増大を生じるなどと問題点を列挙しています。

(新聞「農民」2011.1.3付)
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2011年1月

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