米価暴落に減反強化追い打ち
生産目標ついに800万トン割れ
食糧部会
関連/市町村訪ねてTPP反対を訴え トラクター連ねデモ行進
農水省は11月29日、食料・農業・農村政策審議会の食糧部会を開き、2011年産主食用米の生産数量目標を、10年産に比べて18万トン(2・2%)減の795万トンなどとする基本指針を示しました。
農水省は、11年産米の需要見通しを802万トンと設定し、生産数量目標については需要見通しから7万トンを差し引いて、795万トンとしました。
備蓄については、回転備蓄から棚上げ備蓄に転換する11年度概算要求の方針を報告。(1)備蓄水準は100万トン、(2)国内産を5年程度棚上げ備蓄しエサ米などに処理、(3)播種前契約による買い入れ―との方針を示しました。
また、ミニマムアクセス米は、従来通り77万トンの輸入枠(うちSBSは10万トン)を設定しました。
議論のなかで、全国農協中央会専務の冨士重夫委員は「計画生産をやっても100%達成はありえない。生産の上のブレはどうするのか。今、需給のブレが40万トン程度あり、生産者米価が2000円も下落している。需給対策をしないのは疑問だ」と指摘しました。
各委員からは「会社の経営でいえば、2000円の下落は大きな問題だ」「生産者は生産調整を泣く泣くやっている。豊作だろうと不作だろうと下落するのは異常だ」「戸別所得補償は生産者の自立を考え、農業を魅力あるものとする上で、これでいいのか」などの疑問が出されました。
また「転作を40年間やってきた。制度の説明がまったくなく、農家の苦労を無視した国のやり方に腹が立つ」「卸売業者も価格競争をしていたら行き詰まる。対策が必要だ」などの批判的な意見が続出しました。
しかし、結果として、農水省の基本指針は「了承」された形となりました。
生産調整の強化は、本来、国がやるべき需給調整対策を農家に押しつけるものであり、米価暴落に加えていっそうの減反強化の押し付けが今後の大問題になることは必至です。
受け入れがたい減反強化需給調整は国の責任で
昨年9月の政権交代以来、下落を続けた米の市場価格。2010年産の9月価格は前年比2000円、14%も急落するもとで、食糧部会がどのような需給指針と対応を示すのか、注目されました。
結果は、4万ヘクタールにも及ぶ減反の強化だけでした。減反だけで需給を調整する政府の米政策は、もはや農民には受け入れがたいものになっています。
単年度需給はほぼ均衡か
10年産の作況指数98で、主食用の生産量は824万トン。需要予測は今回、811万トンに上方修正され、過剰はわずか13万トンにすぎません。10年産の精米歩どまりの悪化をはじめ、業者が買い入れを控える主食用輸入米(9万トン)や政府備蓄米(前年実績3万トン)の供給減などからみれば単年度需給はほぼ均衡しているのが実態です。にもかかわらず、米価を暴落させた政府の責任は重大です。
問題は、繰り越されてきた09年産にあります。
政府もようやく集荷円滑化対策の農家拠出金を活用した民間レベルの対策に対し、「容認」に方針転換し、この対策で20万トン前後の「隔離」が見込まれています。
価格の回復へ政府は対策を
これらの事情を反映し、11月中旬以降、米価は「下げ止まった」との見方が広がっています。しかし、暴落した米価の回復にはほど遠いものがあります。
不作頼み、民間頼みで生まれたわずかな潮目の変化を、大きく確かな潮目の変化にするには政府による責任ある過剰米対策が必要です。
引き続き、「備蓄米の買い入れで米の需給の安定と米価の回復を図れ」の声を大きく強めることが求められています。
(農民連ふるさとネットワーク 横山昭三)
市町村訪ねてTPP反対を訴え
トラクター連ねデモ行進
山形県農民連は11月8日から、花烏賊義廣会長を先頭に、食健連とともに県内キャラバンで市町村を訪問し、「TPP参加反対」を訴えてきました。19日までに、北村山、最上、置賜の各地域の全市町村を訪問しました。
20日には、国民大運動実行委員会に働きかけ、「TPP参加反対」などを掲げる県民集会を開き、山形市内をデモ行進。農民連会員が4台のトラクターを運転し、道行く人に訴えました。
これらの行動に参加した置賜農民連の会員は「TPPが、農民だけに打撃を与えるものでないことを市民に訴えたくて参加した。自治体でも、かつてなく職員の反応が良かった」と話しています。
(山形県農民連 洞口昇一)
(新聞「農民」2010.12.13付)
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