韓国G20民衆対抗行動
農民連から真嶋副会長、斉藤女性部役員が参加
韓国の農民・労働者の戦闘的な運動と連帯
「世界経済を危機に追い込んだ者たちではなく、民衆を真ん中に」――11月11〜12日の20カ国・地域(G20)首脳会議に対抗して、「ソウル国際民衆会議」などの行動が7日から12日まで韓国・ソウルで行われました。行動を組織したのは、韓国の労働組合や農民組織、環境NGOなど広範な進歩勢力がつくった「韓国G20民衆対抗行動」とビア・カンペシーナ、「我々の世界は売り物ではないネットワーク」などの国際NGO。
農民連からは真嶋良孝副会長、斉藤教子女性部役員がフォーラムや集会に参加しました。
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G20首脳会議に来韓するオバマ大統領へのお土産として、07年に合意した韓米FTA協定の再交渉が密室で進行中であったため、行動ではFTAが焦点になりました。
再交渉の中心点はBSE牛肉とアメリカ製自動車の輸入制限の緩和。
BSE牛肉の輸入強要に対する韓国国民の反発を無視し、また、燃費性能が悪く、排ガス規制を満たしていないアメリカ車が韓国で売れないのは、韓国による輸入制限のためだという言いがかりをつけて再交渉を強要するアメリカと、密室での交渉に応じた韓国政府。
これに対し、韓国の民衆運動の反応は早く、わずか2日間の準備で、日本でいえば銀座か新宿にあたる鍾路・普信閣前広場で24時間の座り込みを8日〜12日の5日間決行しました。有名歌手も激励に訪れた座り込みでは「G20の華麗なカーテンの裏でアメリカのオバマ大統領が取っていく最大の成果は、韓米FTA再協議だ」「韓米FTAが発効すると、投機資本が暴れても何の規制もできなくなる」「密室再協議を中断して韓米FTAを廃棄しろ」という糾弾の声が相次ぎました。
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韓米FTAに反対して座り込む韓国の農民たち |
全国農民会総連盟(KPL)のイ・グァンソク議長は「11月11日は『農民の日』だが、政府が農民に生産費を保障し、農民を慰労する政策ではなく、韓米FTAをプレゼントしようとしている」と、温和な顔を怒りに染めました。
国際連帯の力でFTAとたたかう
FTAと農業フォーラム
ビア・カンペシーナとKPL、韓国女性農民会(KWPA)が主催した「FTAと農業フォーラム」では、ヨーロッパとアメリカ、日本、韓国の代表が報告。
真嶋副会長は、世界経済危機のもとでの市場分割合戦としてFTAが進められ、菅政権がTPP推進にのめりこんでいる実態を告発しました。
ヨーロッパのNGO代表からは、EUがラテンアメリカとアフリカにFTA網をはりめぐらす動きに出ており、これらの地域でEU産農産物への輸入依存が高まり、小農民の追放と食糧主権に対する侵害が強まっていることが告発されました。
フォーラムで浮き彫りになったのは、二国間で始まったFTAが、アジア太平洋レベルやEU―アフリカ・ラテンアメリカに拡大していることでした。WTOによるグローバルな攻撃が国際的に連帯した反対運動をつくりだし、WTOを機能不全に追い込みましたが、FTAに対するたたかいにも同じ条件がうまれ、この条件にふさわしい運動が求められていることが確認されました。
(新聞「農民」2010.12.13付)
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