旬の味
経済評論家、内橋克人さんの講演を聞いた。TPP問題の本質をえぐった示唆に富むお話だった。そのなかで内橋さんは、少年のころ、神戸大空襲に遭遇し、逃げ惑う中で黒焦げの死体を見たことを話された▼「真っ黒こげの死体のなかで、一カ所だけ真っ白なところがあった。どこだと思いますか。足の裏です。おそらくこの人は必死に走って逃げたのでしょうね」。TPPとはまったく関係ない話が、なぜか印象深く記憶に残っている。会場もなにかピリッとした緊張感が走ったようにも思えた▼その後、ある学習会で話す機会があった。演題は「急浮上、TPPって何!?」。レジメに沿いながら話しを進め、時々「思ったよりたくさん集まってくれた」という聴衆を見ると、熱心にメモをとる人もいれば、うつむきっぱなしの人もいる▼冷や汗をかきながら話を終えた後、どれだけ伝えられたのだろうかと不安にもなる。人前で話すということは、何度やっても難しい。内橋さんの爪(つめ)の垢(あか)でも煎(せん)じて飲むしかない。 (あ)
(新聞「農民」2010.11.29付)
|
[2010年11月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2010, 農民運動全国連合会