集会を機に運動さらに強く
全国代表者集会のねらいは?
JA全中・水田農業対策調査役 加藤 純さんに聞く
米の需給調整対策を早く
農業に大影響 TPP反対
JA全中は、政権交代後、初となる全国代表者集会を開きました。そのねらいについて、JA全中・水田農業対策課調査役の加藤純さんに聞きました。
第一に、米の過剰対策です。一部のマスコミは、米の概算金が下がったために米価下落が起こっているかのように報道していますが、まったく間違っています。米価が下落している主な原因は、国の需要見通しの見誤りにより、米が過剰になっているためです。国は20年産で855万トンの需要を見込みましたが、実績は824万トンでした。21年産は821万トンを見込んで810万トン。これだけで42万トンも見込み違いをしているわけです。また、過剰作付けの問題もあります。つまり、市場に米がダブついているため、米価が下がっているわけです。
政府は今こそ、農家が安心して米作りが続けられるよう、過剰米の市場隔離や棚上げ備蓄の前倒しなど早急に需給調整対策を実施すべきです。
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第二に、来年度から本格実施となる戸別所得補償制度です。戸別所得補償制度は、定額部分と農産物の価格が下がった場合に補てんする変動部分で農家の所得を補償しようという制度ですが、医療・福祉の予算などがどんどん削減されている時に、いつまでもこうした仕組みを維持できるのでしょうか。農家は自ら努力して生産した農産物の価格を適正に評価してほしい、作り続けることができる価格にしてほしいと願っています。なにも補助金に頼った経営を望んでいるわけではありません。本格実施にあたっては、農地の多面的な機能を評価する仕組みや全国一律に交付するのではなく品目・銘柄ごとのセーフティネット対策などを講ずるべきです。
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第三に、APEC(アジア太平洋経済協力会議)を前に、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加検討など、にわかに“自由化”が声高になってきています。農水省は「農業には影響を及ぼさない」よう従来からの方針を堅持していますが、TPPはすべての品目の関税を撤廃することを基本にしており、きわめて危険です。わが国の農産物の平均関税率は12%程度で、EU(欧州連合)やブラジルなどと比べても決して高いわけではありません。“韓国に乗り遅れるな”ではなく、わが国の食料自給率の向上や食料安全保障の観点から、はっきりTPPに反対していくことが必要です。
農民連さんのがんばりに負けないよう、JAグループも今回の全国代表者集会を機に、いっそう運動を強めていきたいと思います。
(新聞「農民」2010.11.1付)
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