「農民」記事データベース20101025-946-07

農民連 東中労と2回目の懇談

(築地市場・労組)

関連/農協正組合員3年間で17万人減


米価下落対策の運動に共感
APEC・官民統一行動で共同を確認

画像 農民連は10月8日、築地市場の労組、全労連・全国一般東京中央市場労働組合(東中労)との2回目の懇談を農民連本部で行いました。懇談は、卸売市場の流通、全国一律最低賃金制(ナショナルミニマム)の問題などで定期的に意見交換を行うものです。

 農民連の齋藤敏之常任委員が、米価下落問題でJAおやまが銀座パレードをするなど運動が広がっている状況を報告。「民主党政権の貿易の自由化政策では、企業の海外進出が増え、国内産業の振興や内需拡大につながらない」と警鐘を鳴らしました。

 またAPECやCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)など、秋のたたかいの重要性を強調しました。

 東中労の羽根川信委員長は、築地市場の移転問題で、都議会特別委員会に参考人として意見を述べたことを紹介し、市場移転が「卸売市場の形がい化、大手量販店のための配送センター化、流通を金もうけの手段にするものだ」と批判しました。

 民主党がマニフェストで「移転反対」を掲げたことに触れ、「都議会の状況は予断を許さないが、おもしろい状況にある。たたかいはこれからだ」と述べました。

 大手量販店の郊外移転の問題で、斎藤常任委員は「商店街がシャッター通りになり、“買い物難民”が増える」と指摘し、農民連としてもその解決に力を注いでいることを紹介しました。

 この後、双方が意見交換。「米作って飯食えない」のスローガンに、東中労側は共感を示し、「労働者も賃金が下がり、米や魚が買えない」などの声を示しながら、ナショナルミニマムの必要性を確認しました。

 当面の問題で、11月14日のAPEC対抗行動(横浜)、18日の官民統一共同行動に双方が取り組み、共同してたたたかうことを確認しました。


農協正組合員3年間で17万人減

准組合員49.1% 半数超すのも間近

 農民数の減少も反映

 農水省の2008年度の「総合農協いっせい調査」が公表され、農協の正組合員が2007年度からの1年間で6万人、2005年度からの3年間では17万人も減少したことが判明しました。

 農協の正組合員は農業者(農民と農業経営法人)ですが、農民数の減少を反映して農協の正組合員も激減しています。そのため、組合員に占める准組合員の割合も、2008年度末には49・1%となり、農民ではない准組合員が農協組合員の過半数になるのも時間の問題です。

 また、合併推進と経営管理委員会制度の導入によって、農協の役員数は2005年度からの3年間で2725人減少し、農協職員数もこの3年間で8918人減っています。一方、女性の役員数はこの3年間で167人増加して全国で605人となりました。

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 信用事業損益が影響

 農協事業の推移では、2008年度末における全国の貯金総額が82兆8000億円と、3年前から4兆2000億円増加しましたが、長期共済保有高は30兆1000億円も減少しています。購買事業では、前年比で生産資材は662億円増、生活物資では438億円減。販売事業では、米を含む農産物で前年比633億円増、畜産物では327億円減となりました。

 経営面からみると、すでに本紙(3月1日付)でも既報のとおり、事業総利益は前年比1・5%マイナスですが、うち信用事業総利益は前年比マイナス4%と、信用事業が経営全体に大きく影響しています。都道府県別に見ると、1県1農協で10年間が経過した奈良県での160億円という大型赤字決算が注目され、このほかにも鳥取、島根、山梨、福井、愛媛の5県が、県全体で当期欠損となっています。

 大規模ほど利用減

  「総合農協いっせい調査」では、このほか地帯別・規模別の数字も紹介されていますが、このうち農協の規模別集計を活用して算出した農協事業の利用状況は、別表のとおりです。大規模な農協ほど、組合員の農協利用が大幅に後退していることがわかります。
(山本)

(新聞「農民」2010.10.25付)
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2010年10月

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