COP10・MOP5 に向け運動さらに
市民ネットワーク 国会でGMナタネ調査報告会
カルタヘナ法改正が必要
市民の調査反映させる仕組みを
食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク(MOP5市民ネット)は9月28日、国会内で「市民による遺伝子組み換えナタネ汚染調査報告会」を環境・農水両省を招いて開き、市民、消費者、学識経験者をはじめ、国会議員も参加しました。
MOP5市民ネット共同代表の天笠啓祐さんが開会あいさつ。6年間続けられてきた遺伝子組み換え(GM)ナタネ調査を振り返り、「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンや農民連食品分析センター、遺伝子組換え食品を考える中部の会の3者が共同して行ってきたが、毎年新たな発見があり、調査範囲をさらに広げることが必要。生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)とカルタヘナ議定書第5回締約国会議(MOP5)に向けて運動を強めよう」と訴えました。
次に生活クラブ生協、グリーンコープ、遺伝子組換え食品を考える中部の会の代表が、6年間行ってきた自生調査の特徴や到達点を報告しました。
MOP5市民ネット共同代表の河田昌東さんが、調査からみえてきた問題点を解明。自生の原因について、「港から搾油工場への輸送中にこぼれ落ちたものに加えて、カビやほこりで汚染された“事故ナタネ”を処理工場に運ぶ最中にこぼれたものもある」と警鐘を鳴らしました。
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環境・農水両省にGMナタネの対策を求める河田さん(立っている人) |
さらにさまざまな交雑種も発見されるなど、汚染がより深刻になっている実態を紹介し、「市民による抜き取り作業だけでは限界がある。行政による対策が必要だ」と述べました。
農水・環境両省の調査に怒り
一方、環境・農水両省からは「GMナタネが非組み換えナタネを駆逐したり、交雑したりする可能性はきわめて低い」「生物多様性に影響を及ぼすおそれはない」などとする報告がありました。
これに対し参加者から、「駆逐するおそれがないからといって、あらゆる場所にGMナタネが生えているのを容認するのか。未然の防止は難しく、さらに汚染が広がってから対策をとったのでは遅すぎる」「有機農業を実践している農家にとっては脅威だ」など不安の声が出されました。
環境・農水両省は「調査対象の港を増やし、対象植物も大豆とツルマメなどを追加したい」と答えるにとどまりました。
閉会のあいさつをした天笠さんは「国の調査結果は、農作物や明治以降に輸入された植物を対象外にして、在来の野生生物だけを影響評価の対象にするカルタヘナ国内法の立場にたったものだ。法を改正し、生物多様性を守るものにしていくことが求められている」と指摘しました。今後の課題として「国の調査と市民の調査に大きな隔たりがある。このギャップを埋め、市民の調査を国の調査に反映させるしくみづくりが必要だ」と呼びかけました。
(新聞「農民」2010.10.11付)
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