「朝日」社説
米価暴落の現実を無視
自由化進める民主党農政あと押し
朝日新聞は9月19日、「安いコメで発展する道を」と題する社説を掲げました。この社説は、冒頭、「『安いコメ』は、生産者にとってはつらい話でも、消費者から見れば喜ばしい」という書き出しで始まり、「米価下落で農家が採算割れに陥っても、戸別所得補償制度があるので、農家は最低限の所得を保障される」、「過剰米の買い上げには同意できない」、「安いコメなら、農産物の市場開放もしやすくなる」などと書き連ねています。
これは、米価暴落という現実をまったく無視し、米価対策を放置して自由化に熱中する民主党農政を後押しするものです。
まず、「戸別所得補償制度があるので、農家は最低限の所得を保障される」と社説では言いますが、これはまったくのデタラメです。「最低限の所得」とは、再生産可能な経営と暮らしができるだけの所得ということです。来年もコメづくりを続けるためには、60キロあたり1万6500円の生産費が必要ですが、新米の概算金は1万円を割り込み、これに戸別所得補償制度の助成金を足しても、「焼け石に水」の状態です。まして労賃分も出せず、暮らしさえ脅かされています。「これでは、せがれに継げとはいえない」「今度トラクターがだめになったら農業をやめる」という農家の悲鳴が聞こえないでしょうか。
では、「安いコメ」でFTA(自由貿易協定)などの自由化が進み、日本から農業がなくなることが、消費者にとって喜ばしいことなのでしょうか。関税をゼロにしたら食料自給率が12%になると農水省が試算しているように、FTAによる総輸入自由化は、日本農業を崩壊に導くものです。
こうした重大な問題点をおおい隠して自由化推進キャンペーンを行なうことは許されません。
(新聞「農民」2010.10.11付)
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