“米作って飯食えねぇ”のムシロ旗
JAおやま・鈴木喜代志組合長に聞く
JAおやま(栃木・小山市)が銀座パレード
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JAおやま(栃木県小山市)は9月19日、「米価1俵(60キロ)1万7000円要求」の横断幕と「米を作っても飯食えねえ」のムシロ旗を掲げて、鈴木喜代志組合長を先頭に約100人が東京・銀座をデモ行進しました。日本農業新聞は「単一JAが都内をデモ行進するのはきわめて異例」と報道。さっそく、鈴木組合長に話を聞きに行きました。
JAおやま 1999年に6JAが合併して誕生。組合員数(正・准)1万3916人。職員数414人。年間販売高105億円のうち、米・麦37億円、イチゴなどの青果物51億円。
米価下落への怒り
農民連と同じです
大ショックにもどこも騒がない
―どういうことから銀座でデモ行進をしようということになったんですか。
鈴木組合長 新米コシヒカリの概算金が、昨年より2100円下がって1万円に決まった。しかもこの地域は雨が少なく高温障害が出て、7〜8割が2等となり、品質が悪くてさらに下がる。農家には二重に大きなショックを与えた。来年になればもっとたいへんだよ。精算したってワンコイン(500円)だよ。ところがどこも騒がない。「これじゃおかしい」という声が強まり、私が「やるぞ!」って決断したんだ。そして、どうせやるなら日本のど真ん中の銀座だということで、みんなで電車に乗って行った。警察も「銀座で農家のデモはめずらしい」って、協力してくれたよ。
農民連の標語パクったんだ
―「米作って飯食えない」のムシロ旗は、私たち農民連が9月10日に行った「怒りの農民行動」と同じです。反響はどうでしたか。
鈴木組合長 「米作って飯食えない」のムシロ旗は、申し訳ないが農民連さんのスローガンをパクったんじゃないかなあ(笑)。でもいい標語だよ。デモ行進していたら、沿道から「がんばれ」って声援をもらった。チラシもティッシュといっしょにまいた。本当は米も配りたかったんだが、許可されなくて残念だった。でも、反響はよかったよ。デモやった次の日には、農家から「よくやった。がんばってくれ」と電話ももらってね、うれしかったよ。
国家の体をなさない農政
―私たち農民連は、昨年の春から「備蓄米を買い上げろ」と何度も要求してきましたが、民主党政権は「買い入れない」の一点張りです。米の需給と価格の安定に責任を持とうとしません。
鈴木組合長 いまの民主党の農政は、国家の体をなしていない。どの国だって、自分の国で食べるものがなくなったらどうするんですか。金さえあれば世界中からなんでも買えるという時代ではないんですよ。ロシアだって、小麦が干ばつで不作になれば輸出を禁止しているでしょう。これが当たり前の政治なんです。国家戦略の中に農業をきちんと位置づけて、政治主導でやってもらいたい。世界には飢餓で苦しんでいる人たちもたくさんいるんだから、不要なミニマムアクセス米は援助にまわせばいいんですよ。生産費を下回るような米価では、米づくりを続けていくことはできない。「せがれに継げ」とも言えない。こんな情けない話はないんだ。だから私たちは「1俵1万7000円米価」を要求に掲げたんです。
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9月19日、銀座をムシロ旗を掲げてデモ行進するJAおやまのみなさん(JAおやま提供) |
最後までともに断固たたかおう
―組合長さんは「全国の仲間も立ち上がってほしい」と呼びかけていますが、まったくそのとおりです。岩手でもJA中央会が1000人の集会を行っていますが、私たち農民連も要求が実現するまでがんばります。
鈴木組合長 米価暴落の問題は今年だけのことじゃない。このままなら来年はもっとたいへんで、とてもじゃないがやってられないよ。これから、議会への請願や政党への要請にも取り組んでいきたい。成果があがるまで断固たたかう。われわれの生死がかかっているんだから。ともにがんばっていきましょう。
COP10、MOP5 監視行動 in 名古屋 |
国際フォーラム(ビア・カンペシーナの代表を迎えて)
・10月22日(金) 午前10時〜午後5時(終了後、懇親会)
・労働会館(名古屋市熱田区)
・テーマ「家族農業は、生物多様性を守り、世界を養うことができる」
・参加費 2000円 |
公害地球懇シンポジウム(協賛企画)
・10月21日(木) 午後1時〜6時40分
・名古屋学院大学(名古屋市熱田区)
・テーマ「生物多様性と農水産業の未来」など
助言者・石田正昭氏(三重大学) |
(新聞「農民」2010.10.11付)
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