「農民」記事データベース20100913-940-06

第56回日本母親大会 in 福島

関連/農村の母さん交流会 初参加の人も元気に

 56回目を迎えた日本母親大会が8月28・29の両日、福島市で開かれました。全国から集まった1万3000人を超える女性たちの元気なこと! 情熱的なこと! 猛暑に負けない、熱気あふれる大会になりました。


ガンバって!
地域を支える若い農家

 手作りパネルを手に登壇すると

 第1日目はあづま総合体育館での全体会。メーンアリーナでは、「平和と健康は幸福の必要条件〜憲法的人間像を求めて」と題して、東北大学名誉教授の日野秀逸さんが講演しました。つづく運動の交流では、農民連女性部のお母さんたちが、梅木由紀子さん(岩手)手作りのパネルを手に登壇。渡辺チイ子さん(福島)が「豊作を喜べる米価と口蹄疫対策を要求し、国民や世界の民衆と共同して、食糧主権を求めてたたかいます」とアピールし、大きな拍手が送られました。

 サブアリーナでは、「持続可能な地球へ いのちはぐくむ食・農・環境を考える」をテーマにしたシンポジウムを開催。パネリストとして東京農業大学名誉教授の小泉武夫さん、JA新ふくしま農協専務の菅野孝志さん、環境NGO「気候ネットワーク」の平田仁子さんが報告しました。

 小泉さんは、緊急の問題として「食料自給率の低さ」「日本型食生活の放棄、洋風化」の2点をあげ、「皆さん、今、食べ物が安すぎると思いませんか?」と、女性たちに問いかけました。実例として鮭の例を紹介し、「安さよりも何を食べたら良いのかを真剣に考える時です。国産の農水産物を食べましょう」と呼びかけ、割れんばかりの拍手がわき起こりました。

 農民連女性部をはじめ、東北の代表が地域の農業実践を報告し、困難ななかでも前向きに農業に取り組む姿勢が、参加者を励ましました。

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サブアリーナで報告する久保田みき子さん(岩手)

 移動分科会は大人気で抽選

 2日目は分科会です。「農に挑む若者たち 酪農、果樹、稲作農家を訪ねて」の移動分科会は大人気で、厳正なる抽選の末に選ばれた40人がバスに乗り合わせ、福島市内の3人の青年農業者の農場を見学しました。

 はじめは酪農家の佐々木光洋さんです。佐々木牧場では、ミルクプラントを個人で建設し、直接消費者に宅配するという、全国的にも数少ない「牛乳産直」に取り組んでいます。佐々木さんは、「安全でおいしい牛乳を、毎日飲める手ごろな値段で提供したいとがんばっています」と語りました。

 ナシとモモを作っている果樹農家の安斎一寿さんは、頭にターバンを巻き個性的なスタイルで登場。「今年は猛暑で雨が少なく、実は小さめですがとても甘くできました」と話し、「楽しく農業することを大切にしています」と紹介しました。

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梨のもぎとり体験に子どももにっこり

 13ヘクタールを耕作する稲作専業農家の加藤晃司さんは、「機械代だけでベンツが2台くらい買えます。でも広い面積を作るには、機械の力は欠かせません」と、大きな農業機械を説明。「ここは果樹地帯で、稲作農家は高齢化が深刻。ふるさとの農地を荒らしたくなくて、農業を継ぐ決心をしました。今後増えると思われる耕作委託にも応えられるよう、規模拡大できる農業のやり方を模索しています」と、しっかりとした口調で語りました。

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稲穂が黄色くなり始めた加藤さんの田んぼを見学

 3人を交えた交流会では、43年間コンビニを経営していたという埼玉県の女性が、「自分は新婦人産直の野菜を食べながら、コンビニの野菜は輸入品が多くて、日本の農業に危機感を抱いてきました。今日は若い生産者の“地域を守りたい”という思いを聞いて、こういう心が次の世代の農業を守っていくのだと心強く思いました。これからもがんばってください」と述べ、大きな拍手がわき起こりました。

 この他にも「若い人が農業で楽しく生活できる、そんな農政にしなければと、痛感した」という声が続出。生産者が3人とも子育て中のお父さんということもあって、「出会いは?」「奥さんは農業をどう考えているか」など、農村の結婚難や後継者問題も大きな話題になりました。

 安斎さんは「奥さんは農業をすごく応援してくれています。農業で生きていくことを誇りに思っています」と答え、加藤さんは「農業は夫婦じゃないとできないと思います。地域を活性化するには、いい夫婦がいっぱいいることだと思います」と回答。会場から「ガンバって!」という声が飛び出しました。


農村の母さん交流会
初参加の人も元気に

 1日目夜には、恒例の「農村のお母さんの交流会」が開かれ、およそ90人が参加しました。

 手作り豆腐、笹まき、かつおのやきつけ、ナスのズンダ和えなど福島県農民連女性部のお母さんが大奮闘して用意した郷土料理や、旬の野菜、果物がテーブルいっぱいに並びました。

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メーンアリーナに登場したパネルを交流会でも披露

 沖縄県から参加した中村喜美江さんは「初参加でしたが、みんなの話を聞けて元気が出ました。学ぶことは“耳ぐすい”(=人の話を聞くのは自分の栄養になるという沖縄の言葉)ね」と話してくれました。

(新聞「農民」2010.9.13付)
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2010年9月

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