「農民」記事データベース20100913-940-05

全国研究交流集会の報告から

関連/みんなで作ろう、もの言う「農民」

 全国研究交流集会(8月3〜5日)では、各地から実践にもとづいた報告がなされ、活発な討論が行われました。そのなかから、3人の報告を紹介します。


要求に基づき1年通じ仲間づくり
年間計画を魅力的で楽しく、元気にやれば思わぬ広がりも

奈良県連北和センター事務局長 森口いち代

 物づくりと販売

画像 奈良県連では、組合員と事務局がいっしょになって、1年間を通じて要求実現に取り組み、仲間を増やす活動をしています。「春の大運動」のなかで、220回以上の「なんでも相談会」を開催しました。案内のチラシを見て相談会に来た農家が、「農民連はなんでもやるんですね」と言うので、「税金のことだけでなく、農家を丸ごととらえるのが農民連です」と話しています。

 一番重視しているのは、「ものをつくってこそ農民」というスローガンのとおり、ものづくりへの要求と販売するという要求を実現することです。2008年秋に直売所「旬の里まみが丘」をオープンしました。登録農家は125人で、そのうち70人が直売所に出荷したいと新たに農民連に加入しました。また福祉施設や病院、米屋さんなどと共同して、12カ所で月50回くらい朝市を開いています。直売所や朝市に出荷するためには“賛助会員”になってもらい、取り決めとして会費と新聞「農民」の購読、農民連の活動への参加をお願いしています。

 また、コンニャクづくりや米粉パン、加工など、ものづくり講習会も開いています。最近では、組合員のほ場をまわる「畑まわり勉強会」を行い、お互いの技術や知恵を出し合って、生産の向上に役立てています。参加者は先生でもあり生徒でもあります。こういう取り組みは、農民連でしかできないことです。

 小さなことでも

 そして「春の大運動」だけでなく、診療所と連携した健康チェックや固定資産税チェック会など、表のような年間スケジュールで1年を通じた活動をしています。そのなかには、「農業が厳しい時だからこそ、楽しい活動をしよう」と、組合員交流会や一泊の研修旅行、収穫祭などにも取り組んでいます。最近では、事務所のテレビで「未来の食卓」などの映画をDVDで見る会を開きました。これを見た組合員が「自分の集落の人や取引先の人にも見せたい」と、DVD上映会が広がっています。

画像
北和センターの組合員研修旅行(2009年12月)

 魅力的で楽しく、元気にやっていれば、農家は必ず関心を示してくれます。農家の要求を実現していく取り組みは、組合員と事務局がしっかり手を取り合って仲間を増やす活動であり、たとえ小さなことでも、農家の要求に合致すれば思わぬ広がりにつながっていきます。

 しかし、全県の農家数から見れば、私たちの仲間はまだまだわずかです。これからも組合員といっしょにがんばっていきたい。


国保の取り組み強めながら
仲間ふやしの運動を大いに

岩手県連事務局長 岡田 現三

画像 研究交流集会では、「いろいろな要求にこたえて仲間を増やし運動をおおいに広めている」という全国からの報告を聞いて、このことの大事さを痛感しました。

 いろいろな要求の中で、とりわけ力を入れたいと思っているのが、国保税の減免の取り組みです。新聞「農民」5月31日付に詳しく載っていますが、国保税は、作っている農作物や地域が違っても多くの農家に共通している問題です。いま、農家の中で税負担が増えているのが住民税と国保税です。所得税だけではなく、国保税を含めた重税とのたたかいを進めていきたい。

 そのカギになるのが、まずは自分の国保税がどうなっているのかを実感することだと思います。6月に開いた岩手県連の役員会で、さっそく新聞「農民」を使って学習しました。その中で実感したことは、これまでは経費を積み上げる作業を所得税が出ない水準でやめて安心してしまう人もいましたが、これでは国保税の軽減にはつながらないということでした。そして「これはいい。ぜひ地域で学習会をおおいにやっていこう」ということになりました。

 これまで、税金の取り組みは「春の大運動」のなかで集中して取り組んできましたが、このままではこれまでの繰り返しになってしまいます。いち早く立ち上げることが大事です。

 この集会では、要求の運動をたくさん提起されました。この取り組みを強め、地域で運動を広げながら組織の拡大につなげていく決意です。


準産直の取り組みとともに
APEC対抗行動の成功を

新潟県連会長 今井  健

画像 いま私の頭の中は、米価暴落の問題とAPEC(アジア太平洋経済協力会議)対抗市民行動のことでいっぱいです。

 まず米のことですが、今年も仲間づくりと合わせながら準産直を広げていきたい。米価下落の中で、米をめぐる情勢はたいへん厳しいですが、農家は売り先を求めています。

 そういう農家が非常に増えてきているので、仲間になってもらって「米をまもろう、農政を変えよう」という思いをいっしょにしながら、準産直に取り組んでいるところです。

 次にAPECのことですが、10月に新潟市で食料安全保障担当大臣の会合が開かれます。行政はなにをやっているかというと、「APECとはなんぞや」ということを県民には何一つ知らせないまま、「この機会に新潟の食を世界に広げよう」と歓迎ムード一色です。

 一方、テレビなどマスコミでは「国際テロ集団が来るから警備がたいへんだ」とあおり立てています。民主党政権は、APECに乗じてさらに自由化を推進しようとたくらんでいます。これに対して私たちは、世界の仲間と連帯して「食糧主権」の旗を掲げています。

 いま新潟県連は、10月16日の市民対抗行動を成功させようと、本部と連携しながら準備を進めています。

 ぜひAPECの危険性を学習しながら、全国から新潟に結集しましょう。EPA(経済連携協定)・FTA(自由貿易協定)反対の声をおおいにあげようではありませんか。


みんなで作ろう、もの言う「農民」
=みなさんからの通信と写真をお待ちしています=
送り先は、ファックス 03 (3590) 6953または
メールアドレス shinbun@nouminren.ne.jp

(新聞「農民」2010.9.13付)
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2010年9月

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