復興に早く踏み出したい!
口蹄疫被害
国は責任もって補償と支援を
県民ネット・農民連など政府要請
4月20日に1例目の発症が確認され、29万頭近くの家畜が殺処分された宮崎県の口蹄疫(こうていえき)は、殺処分された家畜の排せつ物の無害化処理が終了し、8月27日、宮崎県により「終息宣言」が出されました。しかし現地では「本当にもう再発しないのか」という不安の声や、「復興に踏み出したいが、そのための補償と支援がほしい」という切実な声がますます高まっています。「終息宣言」間近の26日、口蹄疫対策県民ネットワーク、宮崎県農民連、農民連口蹄疫対策本部は、日本共産党宮崎県委員会、全国商工団体連合会とともに、農水省、内閣官房、総務省、経済産業省、厚生労働省、財務省、国土交通省に要請を行いました。
政府は農家の不安取り除け
「終息宣言は終わりではなく、復興へのスタートだ。宮崎県が出す終息宣言だけでなく、国として責任をもって安全宣言を出してほしい」―― 農水省への要請で何度も出されたのが「国が責任を持って口蹄疫の復興に取り組んでほしい」という声でした。農民連口蹄疫対策本部事務局長の村尻勝信副会長は、「たい肥の無害化作業が終わらないと終息宣言を遅らせてしまうというので、高齢化した農家が必死の思いで作業している」「まだ口蹄疫のウイルスがどこかに潜んでいるのではと農家は不安でならない。1頭の家畜もいなくなったところから、もう一度畜産をやってみようと気持ちを切り替えられるように、国は責任を持って農家の不安を取り除いてほしい」と、訴えました。
一刻も早く基金創設を
また口蹄疫特措法23条で規定されている再建のための基金創設について、一刻も早く内容を明らかにするよう求めましたが、農水省、内閣官房とも「現在、宮崎県から上がってきた要望を精査中」と繰り返すばかりで、詳細を明らかにしませんでした。「基金創設の遅れもあって、現地の市町村には国の口蹄疫対策の方針がまったく届いておらず、市町村としての対策の遅れにもつながっている」、「現地の要望や実情を反映した復興対策を行うためにも、国の復興対策チームを現地に設置してほしい」などの要望もあがりました。
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殺処分された家畜の埋却地に「ありがとう」の言葉と、手向けられた花とスイカ |
地域経済の復興にも対策を取ってほしい
要請団は、口蹄疫による被害が畜産農家だけでなく飲食業など地域経済全体に及んでおり、現実に「従業員の解雇が始まっている」、「中小業者が不当な理由で融資を断られている」などの具体例をあげて、地域経済の復興に向けて国が対策を取るよう、迫りました。
また、政府から支給された口蹄疫の補償金が課税対象となっている問題では、「口蹄疫の被害を補償するために支払われるお金に課税されるのは絶対納得できない。(税制上の特別措置を規定している)口蹄疫特措法27条に則り、非課税にしてほしい」と求めたのに対し、「副大臣も重大さは理解している。要望に応えられるようにしたい」(農水省)、「農水省から要望は届いており、検討する」(財務省)と回答しました。
(新聞「農民」2010.9.6付)
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