「農民」記事データベース20100823-937-06

欠かせぬ農産物の価格保障

「国民的最低限保障」刊行記念シンポ

真嶋良孝副会長ら著者が発言


 農民連の真嶋良孝副会長ら4氏が執筆した『国民的最低限保障(ナショナルミニマム)―貧困と停滞からの脱却』(大月書店刊)の刊行を記念するシンポジウムが7月31日、東京都内で開かれました。同書は、経済のグローバル化と新自由主義政策が格差と貧困を広げ、経済の停滞を招いていることを詳細に明らかにした上で、その打開の方向を、ナショナルミニマムとディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の確立に求めています。

 シンポジウムでは、著者や労働運動関係者が発言しました。増田正人さん(法政大学教授)は、グローバル経済が地球環境問題など深刻な危機を生み出し、これを克服するには対応する運動もグローバルに展開する必要があると指摘。黒川俊雄さん(慶応大学名誉教授)は、ILO(国際労働機関)が提起した「ディーセント・ワーク」が世界的には大きな潮流になりつつあることを紹介するとともに、これに背を向けている日本政府を批判しました。小越洋之助さん(國學院大学教授)は、ナショナルミニマムの具体的内容として最低賃金制、公的年金、生活保護を充実させることの重要性を論じました。

 真嶋さんは、日本の稲作農民の労賃は最低賃金の4分の1の水準であり、これは労働者の賃金にも影響を及ぼさずにはすまないと警告。農産物の価格保障がナショナルミニマムを確立する上でも欠かせないと訴えました。また、世界の農民運動にはグローバル化に対抗する「食糧主権」という考え方が広がっていることを紹介し、国際的な連帯で各国の運動を発展させる展望を示しました。

 会場には100人を超える聴衆が集まり、フロアからも活発な発言がありました。

(新聞「農民」2010.8.23付)
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2010年8月

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