「農民」記事データベース20100823-937-01

“米価下落は農民の責任”という
民主党農政には幻滅です

「緊急に政府米買い入れよ」と要請している
北海道・東北農業対策協議会会長
JA宮城中央会会長 木村春雄さんに聞く

関連/夏の学習交流会 in 長野

 北海道と東北の7つのJA中央会でつくる北海道・東北農業対策協議会は、緊急に政府米を買い入れ、過剰米対策を行うよう要請しています。同協議会の会長で、JA宮城中央会会長でもある木村春雄さん(69)に話を聞きました。


プロフィル

 1941年2月、宮城県大崎市鹿島台生まれ。みどりの農協組合長、JA全中理事、JA全農経営管理委員会副会長


先がみえない戸別所得補償制度
米価安定策 期待できない

 デタラメ農政

画像 ―米どころの東北・北海道のJA中央会の会長さんたちが先頭に立って、再三にわたり過剰米対策を求めています。本当に力強いかぎりです。7月29日にも農水省の篠原孝副大臣に要請しましたが、いかがでしたか。

 木村 政府・民主党の農政は、まったく理解に苦しみます。篠原副大臣に要請に行ったら、「私が何をやったか知っていますか」と言うんですよ。そんなことを突然言われてもわかりません。そうしたら「私が戸別所得補償制度を考えたんだ」という自慢話です。そして、私たちの要請には「米価下落は自己責任」と言うではないですか。政府には責任がないとでもいうんですか。現政権の農政には、まったく幻滅しています。

 現場を知らない

 ―米価は9カ月連続で下落し、新米への影響も必至です。県内のある農協では、21年産の米が倉庫にまだ積まれていて新米を集荷する場所がないという話も聞きます。過剰米対策は喫緊の課題ですね。

 木村 山田農水大臣は「米の過剰感はない」と言っていますが、まったく現場を知らない発言です。あるいは、過剰だと言えば対策を取らざるを得なくなるので、知っていながら言っているとしか考えられない。民間の調査会社が発表した宮城県の作況は「106」で豊作を予想していますが、このままではまったく豊作を喜べない年になりそうでガッカリです。

 財源は、品目は…

 ―戸別所得補償モデル事業が始まりました。山田大臣は、申請が132万件もあるので「需給は締まり、米価は安定する」と言っています。しかし、生産調整の面積確認がまだはっきりしていません。戸別所得補償制度で米価の安定が期待できますか。

 木村 なぜ農協を排除してこの事業を進めようとしているのか、理解できません。来年度からの本格実施に向けて財源をどうするのか、どの品目を対象にするのか、まったく先が見えません。できるかどうかさえあやしいもので、米価安定などとても期待できません。

 原点を忘れずに

 ―政府・民主党は、なにがなんでも「過剰米対策はしない、買い入れない」という方針のようです。今後、農政運動をいっそう強めることが求められていますね。

 木村 農政運動の基本は、農民連さんも同じだと思いますが、農家・組合員の声を聞き、願いを一つひとつ掘り起こしていくことだと思います。その原点を忘れてはいけない。民主党の中には、農家の願いに耳を傾けてくれる国会議員もいます。これからも要請活動を強めていきたい。農民連さんもがんばってください。


農民連青年部
夏の学習交流会 in 長野

▼日時   9月4日(土)午後1時〜5日(日)正午まで
▼集合場所 自然農法国際研究開発センター研修所(松本市波田5632)
  TEL 0263(92)6800
▼申し込み・問い合わせ先 農民連青年部
  TEL 03(3590)6759

(新聞「農民」2010.8.23付)
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2010年8月

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