ダムに上流域を荒らされた
生命流域シンポ in 王滝(長野)
復活へ水源保護基金を
長野県王滝村にあり、存続が危ぶまれている「名古屋市民おんたけ休暇村」で7月17、18の両日、COP10に向けた「生命流域シンポジウム」が行われ、約150人が参加しました。
生物多様性条約市民ネットワーク(CBD市民ネット)の「生命流域作業部会」代表代行の大沼淳一氏は、冒頭「ダム開発で上流域の農地、暮らし、歴史が水底に沈められ、水と電気が下流域の都市圏の経済発展を支えてきた」と説明。さらに「WTO(世界貿易機関)による自由貿易体制の下で、工業製品の輸出と引き換えに安価な農林水産物の輸入が自由化された。若い働き手は下流域に奪われ、農林業が衰退し里山は荒れていった。上流域とその生態系を犠牲に下流域が発展してきたことは真実であり、今その責任が問われている」と述べました。CBD市民ネットは、上流域の復興を進めていくために「生命流域作業部会」を立ち上げ、10月のCOP10で「生命流域イニシアチブ」を確立しようと取り組んでいます。
開催地の王滝村は、農地は愛知用水のためのダムに沈み、その補償金で造られたスキー場は多額の借金を生みました。王滝村は“第2の夕張”と言われるようになっています。参加した名古屋市民は、この問題を解決するために、名古屋市の水道料に水源保護基金として1トン1円を積み立てる案などを提案しました。会議には名古屋市長の河村たかし氏と王滝村長の瀬戸普氏(ひろし)も参加しました。
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実家「ひめや」旅館の前にある霊神碑の林を父とともに手入れする小谷普子さん(左)=長野県王滝村 |
王滝村に住む小谷普子(ゆきこ)さん(24)は、農民連青年部の総会や静岡・藤枝の茶摘み交流会に参加し、各地で地域のためにがんばる農民連の青年たちと出会いました。地元王滝村に戻り、実家の「ひめや」(旅館で特産菓子「ほうば巻き」を作っている)を手伝い、薬草研究家である父と小さな農地で野菜を栽培し、旅館に出しています。小谷さんは、この村を存続させていくための方法を日々考えています。
(農民連青年部 武田伸也)
(新聞「農民」2010.8.16付)
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