輸入汚染米が食用に
新たに発覚 やっぱりズサンだった農水省調査
農民連 08年発覚時から問題視
改めて徹底解明を
エサ用のはずの3155トン
農水省は7月22日、2007年にミニマムアクセス(MA)米として輸入したアメリカ産の汚染米(農薬やカビ毒に汚染された事故米)が、食用として不正に転売されていたと発表。台帳を偽装して転売し“荒稼ぎ”をしていた協和精麦(神奈川県伊勢原市)など4社を、食品衛生法違反で神奈川県警に刑事告発しました。不正転売は3155トンにのぼります。
輸入汚染米問題は、輸入したMA米のうち、農薬やカビなどで汚染された米を「工業用」に限って販売していましたが、三笠フーズなどの悪徳業者が不正に「食用」として転売していたことが2008年9月に発覚し、社会的な大事件に発展しました。輸入汚染米には、政府が保管中に事故が発生し処分した政府ルートと、輸入時に違反が見つかり、汚染米を買い戻した商社が自ら処分した商社ルートのものがあり、今回の事件は商社ルートから発覚しました。
当時、商社ルートは1万9600トンもの輸入汚染米の流出が確認されていました。農水省と厚生労働省は合同で商社ルートについて調査しましたが、「書類の保存期間は5年でそれ以前は調査できない」などの理由を付けてまともに調査せず、唯一調査したのが飼料会社に販売した5251トンだけでした。その調査もほとんどが「聞き取り」だけで「全量エサ用として適正に販売」などとして、「商社ルートは解明ずみ」としてきました。今回、「家畜のエサとして適正使用」したはずの汚染米の、実に60パーセントが国民の口に入っていたことになり、その責任は重大です。
農民連は当時から、政府のズサンな姿勢を問題にしてきました。政府は改めて商社ルートのすべてを徹底解明し、国民の前に真相を明らかにすべきです。
農水省は関係4業者を刑事告発しましたが、汚染米を政府から買い戻し悪徳業者に流した商社を告発対象からはずしたのは極めて不可解です。
それでも商社にまかせるのか
政府は今年の10月からMA米を含む政府備蓄米の販売や管理を商社など3社に依託することにしています。これでは「どろぼうに金庫番」をさせるようなものです。備蓄米の民間委託は中止すべきです。
(新聞「農民」2010.8.16付)
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