「農民」記事データベース20100816-936-01

米モデル事業と水田利活用事業 申請132万件

生産調整面積は不明

米価は9カ月連続して下落

関連/ジューシー・おいしさ届けて


“昨年の減反件数上回る”“米価も維持”
農相が早々と無責任発言

 農水省は7月16日、戸別所得補償モデル対策の加入申請件数(速報値)を公表しました。それによると、口蹄疫(こうていえき)の影響で宮崎県など九州の4県は申請期限を延長していますが、6月末時点の米戸別所得補償モデル事業(米モデル事業)と水田利活用自給力向上事業(水田利活用事業)の申請件数は、全国で131万9277件でした。また、集落営農組織は1件とカウントされているため、農家戸数にすれば「150万戸くらいになるのではないか」とも言われています。

 山田正彦農相は「(昨年の)コメの生産調整していた120万戸を上回る件数」で、「米の需給は締まっていく。何とか米価も維持されるのでは」と胸を張り、「今、米の過剰対策は考えていない」と結論づけていますが、これほど事実をゆがめた無責任な発言はありません。

 過剰米対策しない

 今回の速報値は、生産調整が義務付けられている米モデル事業と、生産調整とは関係なく交付される水田利活用事業の申請者数の合計です。米の需給に影響を及ぼす米モデル事業の申請件数と、生産調整面積がどれだけになるのかが公表されなければ評価はできません。

 本紙が農水省の担当者に問い合わせたところ、「米モデル事業の申請件数も、面積確認もこれからの作業。需給が締まるかどうかは、加入面積や主食用米の作付面積をキチンと確認しなければ判断できない。なるべく早く公表したい」と回答しています。大臣の発言に対して農水省の担当者は、あくまで“大臣の思いや期待”と言葉を濁しています。

 赤松前農相以来、“米モデル事業で生産調整参加者が増えて米の需給は締まる“と強弁している農水省ですが、米価は民主党政権が誕生して以降、9カ月連続で下落し、相対価格で史上最低を更新する異常事態です。それでも根拠のない勝手な解釈のうえに立って、「米の過剰対策は考えていない」と断定する農政は、常軌を逸しています。

 政府動かす運動を

 速報値を詳しく調べると、北海道の申請件数は水稲共済加入者数の1・7倍になっています。その理由は、北海道では水田に水稲を作付けしないで麦や大豆など転作作物だけを作付けしている、いわゆる全面転作農家が多いからです。こういう農家は米モデル事業には申請せず、水田利活用事業のみ申請しています。北海道のように、水稲共済加入者数を越える申請件数があった県は福井や福岡など9県ありますが、一方で、千葉県は水稲共済加入者数のわずか13%、埼玉県は27%、愛知県は43%、福島県が51%など、従来からの減反未達成県は低い加入率となっています。

 こうした状況からも、生産調整が増えるのかどうかはまったくの未知数です。

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高知では、もう稲刈り
(7月27日、高知市 撮影=尾崎淳さん)

超早場米(宮崎)の概算金
前年より2000円安い1万円米価

 出来秋を前に、米価下落に歯止めがかかりません。宮崎県など超早場産地の新米価格の概算金は、前年より1600円から2000円安くなっており、8月4日以降の農家出荷は1万円です。

 面積ベースでの加入状況の公表は、早くても8月下旬と言われており、それでは手遅れです。政府は米の需給を安定させ、農家が再生産可能な所得を確保できるよう、過剰米対策としてただちに40万トン規模の買い入れを行うべきです。

 さきの参院選では、民主党とみんなの党以外、7つの政党が「過剰米を買い上げる」(日本農業新聞のアンケート)と公約しており、ここに世論の大勢が示されています。この到達点を踏まえた政府を突き動かす運動が、いま求められています。


新婦人那覇支部

ジューシー・おいしさ届けて

パイナップル農家の苦労話聞き交流 沖縄東村

 新日本婦人の会那覇支部の二十数人は6月21日、沖縄県東村の高江地区で米軍ヘリパッド(離着陸帯)建設反対の座り込みをしている住民を支援し、農民連東支部のパイナップル生産農家と交流しました。

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「今年のパイナップルもおいしいぞ」―収穫に忙しい東村の農家

 広大な畑を前に、農民連の玉城忠男さんから栽培の説明を聞き、袋かけの農業体験を行いました。新婦人那覇支部の渡久地(とぐち)昌子(しょうこ)さんは「甘くてジューシーなパイナップルをみんなで試食しながら、生産者のご苦労を聞き、おいしいパイナップルを消費者に届けたいという意気込みが感じられました。また、座り込みの住民との交流会に差し入れられたパイナップルの味も忘れられません」と話していました。

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米軍ヘリパッド建設反対の座り込みを支援する新婦人の皆さん

 完熟パイナップルは7月下旬から8月にかけて収穫され全国に届けられます。

(新聞「農民」2010.8.16付)
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2010年8月

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