「FTA交渉を積極展開」と主張
「みんなの党」の農業政策
農家・農村の実態からかけはなれた発言
米価引き下げも容認
みんなの党が参議院選挙で打ち出した「アジェンダ2010成長戦略」は、「『国内に閉じこもる農業』から『アジアを市場とする農業』への転換、コメはアジアを市場とする輸出産業への転換を図り、農産物を聖域としないFTA交渉を積極展開」と主張しています。まさしく民主党・自民党顔負けの財界に忠誠をつくす自由化推進党です。
また、みんなの党は「民主党の戸別所得補償はバラマキを行うだけ」と批判し、「強い農業を作ることとセットの直接支払いにすべき」と主張。では、強い農業とはなにか。渡辺喜美代表は「ある篤農家は有機栽培米を60キロ6万円で販売している。1玉3万円のスイカが中東諸国で売れる。外に目を向けてもらいたい」(日本農業新聞7月7日付)などと述べていますが、農家や農村の実態からかけ離れた発言です。
さらに「米価引き下げによる需要(国内・輸出)拡大と規模拡大等により農家の収益性を向上し、株式会社の農地取得を促進する」ことも主張。その前提として「日本の80%以上の農家は、1アール未満のただの地主であり、これらの土地を整理して1ヘクタール以上の農業を展開して黒字の産業にする」と明記しています。しかし、1アール(1畝)はわずか30坪。住宅1軒分の「農地」しか持っていない農家が80%以上とは、まったくのデタラメです。
本紙が、みんなの党本部に問い合わせたところ、「1ヘクタール未満のミス」とのこと。しかし、無知としか言いようがない現状認識を選挙公約に堂々と載せ、指摘されるまで気づきもしないという点でも、1ヘクタール経営で「輸出産業」になるかのように描き出すという点でも、“無知のホラ吹き”と言わなければなりません。
結局、みんなの党の農業政策は、無限の自由化と米価引き下げだけです。
(新聞「農民」2010.8.2付)
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