「農民」記事データベース20100802-935-02

スイカが広げる地域農業の輪

茨城・阿見産直センター
おいしさの秘けつは土づくり


 暑い夏を乗り切るにはスイカが一番。糖度が高く、甘さとみずみずしい食感で夏バテも一気に吹き飛びます。

 茨城県は全国でも有数のスイカの産地。なかでも牛久市や阿見町は、平たんで水はけのよい火山灰土壌と温暖な気候というスイカの栽培に適した自然条件に恵まれています。

 農事組合法人いばらき県南・阿見産直センター(阿見産直センター)のスイカ部会長、吉田修夫(のりお)さん(53)は、阿見町でスイカを1ヘクタール栽培。「春先は悪天候が続いたが、それ以降は天候もよく、今年は出来がいい」と、大玉スイカを前にして、真っ黒に日焼けした顔がほころびます。

 栽培で工夫しているのは土。阿見のスイカは、高品質な青果物を栽培する産地におくられる県の青果物銘柄産地に指定されています。また、県の特別栽培認定を受けています。同産直センターの荻島光明事務局長は「おいしい野菜は土づくりから」と力を込めます。

 阿見産直センターでは、EM菌(有用微生物群)を使ったたい肥づくりを基本にして、有機肥料にはナタネ油かす、骨粉、魚粉などを使い、化学肥料は慣行農法の半分以下、農薬も極力減らしています。吉田さんも、隣接する美浦(みほ)村の日本中央競馬会美浦トレーニングセンターから取り寄せる敷きワラをたい肥に利用し、「敷きワラは、分解が早く、いい土づくりには最適」と言います。

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吉田修夫さんと俊子さん。「甘さと水分をたっぷり含んだスイカをどうぞ」

 スイカ作りは気候に左右されやすく、ビニールハウスを開けたり、閉めたりと栽培管理はたいへん。また核家族化の進行で、大玉スイカを求める消費者も減っています。

 それでも「阿見産直センターのスイカは信頼できるおいしさがある」(荻島事務局長)と、同産直センターの直売所での人気はメロンと並んで絶大です。スーパーでの販売と違い、直売所は地産地消の実践の場、地域の農業を支え、育てる役割を担っているのです。

 阿見産直センターは、直売所のほか学校給食への供給など地産地消に力を入れています。子どもたちに阿見のスイカを食べてもらうことで、地元への愛着が育つ――。スイカの地域農業への貢献は大きい!

(新聞「農民」2010.8.2付)
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2010年8月

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