打ち切り絶対許さない
免税軽油制度
2012年3月に廃止か
制度存続へ大運動を
免税軽油の制度が、地方税法の「改正」により道路特定財源が一般財源化されるため、2012年(平成24年)3月31日で廃止されようとしています。軽油引取税を道路特定財源にして無駄な道路を作ってきたこれまでのやり方には問題があり、一般財源化には道理があります。同時に、この制度がなくなれば、いまでさえ困難な農業経営への負担は避けられず、軽油を大量に使う畜産農家や野菜・園芸農家などにとっては重大な問題です。
免税軽油とは、道路を走らない機械に使う軽油については軽油引取税(1リットルあたり32円10銭)を免税するという制度です。軽油に課せられる軽油引取税は、道路特定財源として道路建設などのために使われてきた税金ですが、農業用の機械(耕運機、トラクター、コンバイン、栽培管理用機械、畜産用機械など)や船舶、倉庫で使うフォークリフト、重機など、道路を使用しない機械燃料の軽油は、申請すれば免税が認められています。たとえば、1カ月に500リットルの軽油を使っていれば月1万6500円が免税になり、各地の農民組合では、この制度を使って農家の節税に努めてきました。
およそ50人の会員が免税軽油に取り組んでいる宮崎県農民連・都北農民組合(都城市)。事務局の有田枝梨子さんは「厳しい経営のなかで、農家には『節税できて本当に助かっている』とたいへん喜ばれています。この制度の打ち切りは本当に困ります。ぜひ存続させたい」と話しています。
免税軽油制度の打ち切りについて、総務省と農水省に本紙が問い合わせたところ、各担当者は「この制度はこれまでも何回か延長されてきた。法律では打ち切りとなっているが、税制論議の中で延長される可能性もある。論議は早くとも来年」と回答しています。
この制度を存続させるため、船舶関係の業界や製材業界など免税軽油の制度を活用しているほかの団体とも連携して、地方議会への請願や各政党への要請など、大きな運動が求められています。
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免税軽油がなくなれば、経営上大変です |
制度活用者ごくわずか
申請手続きの簡素化ぜひ
免税軽油制度を活用している農家は、ごくわずかです。たとえば千葉県では、販売農家6万4000余戸に対して、免税軽油を申請している農家はわずか567戸で1%にも達しません。その理由は、複雑な申請手続きと事務負担にあります。
千葉県の場合、免税軽油使用者証を持っている者が、県税事務所から免税証(チケット)をもらい、そのチケットと引き換えに販売業者から免税価格で軽油を購入することになりますが、この免税軽油使用者証を県税事務所から交付されるまでがたいへんです。提出しなければならない書類は、申請書、誓約書、農機具のカタログや写真、個人なら住民票、軽油を購入する販売業者名、耕作証明書など。そして、こうした書類をもとに、さらに実態調査があります。これらをすべてクリアして免税軽油使用者証が交付されるというわけです。さらに、「どの機械に、いつ、何リットル給油して稼動させたか」の報告が月ごとに義務付けられています。こんなに申請がたいへんで事務負担が大きければ、なかなかこの制度を活用しようということにはなりません。
千葉県農民連では、免税軽油の存続と「免税軽油制度の申請手続き簡素化」を求めて、県に要請することにしています。
(新聞「農民」2010.8.2付)
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