本の紹介
国民的最低限保障(ナショナル・ミニマム)
―貧困と停滞からの脱却
増田正人・黒川俊雄・小越洋之助・真嶋良孝著
ナショナル・ミニマム確立へ
国民的な運動のための指針書
新自由主義政策のなかで格差と貧困が広がっています。本書は、こうした状況のなかで進行している貧困や停滞から脱却するために、グローバル化の視点を重視し、全国一律最低賃金制を軸とする国民的最低限保障(ナショナル・ミニマム)の意義とその重要性を提起しています。
また本書は、小越洋之助氏(国学院大学教授)と黒川俊雄氏(慶応大学名誉教授)を中心にした「グローバル化とナショナル・ミニマム研究会」のなかで行われた報告と討論の成果をまとめたものです。この研究会は、2004年10月から2009年5月まで計30回にわたって開かれ、全米農業・貿易研究所のニール・リッチー氏やILO東京事務所の前代表、堀内光子氏など、多彩なゲストを招いて活発な意見交換と交流・討議を重ねてきました。
特に本書では、日本におけるナショナル・ミニマムの実現をはかるうえでは、地方の再生、特にその基礎となる農業の再生が不可欠なことから、農民連副会長の真嶋良孝氏が「グローバル化と食糧・農業問題―ナショナル・ミニマムと食糧主権、価格保障」(第5章)を書いています。
本書は、国民的最低限保障(ナショナル・ミニマム)の確立という国民的な運動を進めていく上で、重要な一つの指針書です。
(定価3200円+税、大月書店)
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なお、出版を記念してシンポジウムが開かれます。
▼日時 7月31日(土)午後1時〜5時
▼場所 全労連会館ホール(東京・御茶の水)
▼参加費 3000円(書籍代込み)
(新聞「農民」2010.7.26付)
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