参議院選挙の結果について民主党が消費税増税で大敗「ねじれ国会」で「戸別所得補償」実施が不透明に
7月11日に投開票された参議院選挙で、民主党は、改選議席数の54を大きく下回り44議席へと大敗しました。有権者は菅政権に厳しい審判を突きつけました。 一方、自民党は改選議席を上回る51議席を確保しましたが、比例区の得票数では約1400万票にとどまり、1998年の橋本内閣が惨敗した参議院選挙時の獲得票をも下回りました。みんなの党が10議席に躍進し、日本共産党は3議席に後退しました。
参院選の最大の争点は、菅首相が言い出した消費税増税でした。菅首相は選挙結果を受けて「やや唐突な感じで国民に伝わった。十分な説明が不足した」と釈明しています。しかし「今回の選挙結果は、『増税ノー』の国民の意思。庶民の暮らしがどれだけ疲弊しているか、国民をこれ以上バカにしないでと言いたい」(石川県の60歳代の男性―各党代表が出席したNHK「討論スペシャル」から)という声に代表されるように、菅首相は民意を真摯(しんし)に受け止め、増税発言を撤回すべきです。 また昨年9月に政権交代した民主党は、沖縄・普天間基地問題では「国外、最低でも県外」という公約を踏みにじり、「政治とカネ」の問題でも、鳩山前首相・小沢前幹事長に数々の疑惑が噴出したにもかかわらず、ほおかむりを続けました。そして、後期高齢者医療制度の撤廃という公約も投げ捨てました。こうした公約破りへの国民の怒りが、「民主党大敗」という選挙結果にあらわれました。
一方、衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」となったことから、戸別所得補償制度の2011年度からの本格実施の行方が不透明になったといわれています。本格実施には法案の成立が欠かせませんが、戸別所得補償制度について、自民党は「廃止」、公明党、共産党、みんなの党は「全面的・根本的な見直し」を求めており、与党が多数の衆議院で法案が通過しても、野党多数の参議院で否決される可能性があります。 また、選挙後の政権運営として、「財政支出を伴わずに高い経済成長を推し進めるには、その効果が期待できる貿易の自由化と規制緩和の議論が活発になるだろう」(日本農業新聞7月12日付)との報道もあり、各党がEPA・FTAにどう対応するのかも注目されます。
日本の政治をゆがめ、国民の暮らしを苦しめているアメリカいいなり、財界中心の政治からどう抜け出すのか。国民が主人公の新しい政治への模索が続いているもとで、消費税増税の阻止や、EPA・FTAを許さず、価格保障を軸に押した所得政策を求める国民的大運動を草の根から展開することがいよいよ重要になっています。
(新聞「農民」2010.7.26付)
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[2010年7月]
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