「農民」記事データベース20100726-934-01

10月に名古屋で
COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)と
MOP5(カルタヘナ議定書第5回締約国会議)

関連/GM作物が食の安全脅かす

 地球に住む生命を守るための生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)と、生物多様性を脅かすおそれのある遺伝子組み換え生物などを規制するカルタヘナ議定書第5回締約国会議(MOP5)が10月に名古屋市で開かれます。COP10・MOP5まであと100日を過ぎ、学習を通じて知識を深め、運動を大きく盛り上げようと、各地でさまざまな集会やイベントが取り組まれています。


生物多様性の保全と持続可能な利用へ
市民の声反映させよう

 環境・自然保護団体、NGOなどで構成される生物多様性条約市民ネットワーク(CBD市民ネット)は7月10日、東京都渋谷区の国連大学で「COP10・MOP5カウントダウン100フォーラム」を開きました。

 CBD市民ネット顧問の武者小路公秀氏が開会あいさつ。「生物多様性の問題には、世界中の国家、企業、市民が取り組まなければならない。国際会議の中でもとても重要な会議だ」と呼びかけました。

 国際自然保護連合の古田尚也氏は「生物多様性条約(CBD)の誕生背景とCOP10」について報告。1992年のリオ・地球サミット(ブラジル)で、気候変動枠組み条約とともに誕生したCBDは「(1)生物多様性の保全(2)持続可能な利用(3)遺伝資源から得られる利益の公正・公平な配分―の3つの目的がある」と述べました。

 また「自然保護にとどまらず、食糧や水などの生態系の恵み、貧困と開発、先住民の権利・伝統的知識、外来生物・遺伝子組み換え生物の規制などを含む広範なテーマを取り上げるものだ」と力説しました。

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壇上に並ぶCBD市民ネットのメンバー=7月10日、都内

 CBD市民ネットに結集する「湿地の生物多様性」「人々とたねの未来」など各作業部会から、それぞれの部会で検討している現段階の基本的考え方(ポジションペーパー)についての報告がありました。

 最後に、CBD市民ネットの高山進共同代表が「多くの会員や団体、現場に密着した声を集め、各作業部会相互に交流しながら、COP10・MOP5に市民の意見を反映させるためにポジションペーパーをまとめたい」と述べました。


GM作物が食の安全脅かす

MOP5市民ネットがシンポ

 「食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク」(MOP5市民ネット)は7月3日、名古屋市の中区役所ホールで「COP10・MOP5まで100日シンポジウム―未来へつなごう・いのちを育(はぐく)む食と農―」を開きました。MOP5市民ネットは、CBD市民ネットのMOP5作業部会を兼ねています。

 「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」の天笠啓祐代表(MOP5作業部会長)は、遺伝子組み換え(GM)作物が生物多様性と食の安全をどのように奪ってきたかを述べ、GM作物による遺伝子汚染で「野生植物や在来品種の減少が進行するおそれがある」と警鐘を鳴らしました。

 GMナタネが生物多様性を脅かす事例として、「遺伝子組換え食品を考える中部の会」の河田昌東さんはGMナタネが自生して他のアブラナ科農作物や雑草と交雑している実態を報告しました。

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遺伝子組み換え汚染を告発するMOP5市民ネット=7月3日、名古屋市

 MOP5市民ネットの真下俊樹運営委員は、MOP5の大きな争点となるカルタヘナ議定書27条の「責任と修復」問題に言及。「GM作物の汚染に対して誰が責任を負い、どう修復するか」について、法的な拘束力を持たせる補足議定書の策定の必要性を述べました。

 MOP5市民ネット参加の各団体から決意表明が語られました。

 最後に(1)補足議定書の策定(2)野生生物だけを対象にし、栽培作物は適用の対象外となるカルタヘナ国内法の改正―を求める「MOP5に向けた市民提言案」(MOP5作業部会提言案)を発表しました。

(新聞「農民」2010.7.26付)
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2010年7月

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