「農民」記事データベース20100712-932-03

宮崎・口蹄疫対策県民ネットワーク

山田農相の暴言に抗議

政府の現地対策本部に文書

関連/「畜産農家に埋却地確保義務、被害拡大は県に責任」、口蹄疫で山田農相の暴言に断固抗議する


 口蹄疫対策県民ネットワークは7月1日、政府の現地対策本部に要請と抗議を行いました。篠原孝副大臣が応対し、事務局団体のほか人工授精師や飼料生産者などが参加しました。

 冒頭、山田大臣への抗議文(別項)を手渡しましたが、篠原副大臣は、「私は山田大臣本人ではないので、回答もできないし、受け取れない」などと述べ、抗議文の受け取りを拒否しました。

 県民ネットワークは、削蹄師や人工授精師、また口蹄疫による失業者や関連産業への損害補償、口蹄疫特措法で定められている再建にむけた基金の早期創設などを求めました。

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篠原副大臣(左から2人目)に要請する県民ネットワークのみなさん

 今後は、県や自治体へも要求していくことにしています。

 抗議文は即日、山田大臣あてに郵送しました。


「畜産農家に埋却地確保義務、
被害拡大は県に責任」、口蹄疫で
山田農相の暴言に断固抗議する

2010年7月1日 口蹄疫対策県民ネットワーク

 山田農相は6月23日、宮崎県で「畜産農家がある程度の(埋却)用地を確保しないと(規模拡大を)簡単に認めるわけにはいかない」「感染が拡大したのは第一義的には県の責任」などと述べました。これは、感染拡大防止に心身ともに疲れはてている畜産農家をはじめ、自治体やJA役職員、解雇・営業不振にあえいでいる県民の神経を逆なでする無責任発言であり、断固抗議するものです。

 経営再建の希望を打ち砕くのか

 絶望にうちひしがれながらも、農家の7割が畜産を続けることを希望していますが、山田農相の発言は、こういう希望を打ち砕きかねません。いま最も求められているのは、従来の負債に加えて、牛や豚が出荷できるまでの数年間は出費ばかりで無収入を覚悟で再スタートを希望する農家に、抜本的な支援策を打ち出すことです。

 山田農相は、埋却地の確保を畜産農家に義務づける規制強化を家畜伝染病予防法改定にもりこむことを検討していると述べたようですが、ここには二つ問題があります。

 第1に、今後のことを言うのなら、融資以外にまともな経営再建策がない口蹄疫対策特別措置法の見直しこそ最優先のはず。順序が逆です。第2に、口蹄疫激発地域に新たな埋却予定地を確保しろ、というのは無理難題です。

 また、山田農相は大規模畜産を一方的に問題にし、規制強化をほのめかしていますが、これは、「埋却地を確保できない畜産農家は切り捨てる」ということではないでしょうか。

 農相には、これまでの大規模経営推進、アメリカ産飼料穀物の輸入に依存した畜産のあり方を見直し、日本に適した畜産の在り方を示すことこそ求められているのです。こんな無責任な農相の発言では、和牛のふるさと宮崎も日本の畜産も守れるはずはありません。

 国の責任を棚あげにするな

 国の責任を棚にあげて、県の責任だという無責任さも常軌を逸しています。「川南町で埋却が滞留したことが感染拡大の原因。だから県の責任だ」と言っていますが、それならば、50年も前の法制度を改善もせずに放置した国の責任はどうなるのか。

 インターネット上には「赤松口蹄疫」だとか「素人政治の初動遅れ」という批判が氾濫(はんらん)しています。私たちはこれまで、感染拡大の徹底的な抑えこみを願い、こういう批判に同調してきませんでした。しかし、農相がここまで言うのなら、たいした用事でもないのに、赤松前農相が中南米を外遊した期間に感染が拡大したことや、消毒液の手配など、初動の遅れを指摘せざるをえません。

 参院選公示の前日に臆面(おくめん)もない無責任発言をする姿勢には怒りしか湧(わ)いてきません。農相は発言を撤回し、謝罪すべきです。

(新聞「農民」2010.7.12付)
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2010年7月

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