一大事!自由化で民主党と
経団連がスクラム(2/2)
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もう待てない!
価格保障と所得補償の組み合わせこそ
民主党政権
やせ細る戸別所得補償、価格保障はやる気なし
鳴り物入りでスタートした戸別所得補償モデル事業。(1)補償の水準が低すぎるうえ、米の買いたたきにつながる、(2)転作助成を全国一律にし、多くの作物で引き下げた、(3)農林水産予算の総額を削減したため、農家の不信と怒りをかっています。
その結果、5月末現在の加入申請は予定の3割止まり。「このまま推移すれば、農民の制度に対する不信任を示すものではないか」という農民連の質問に、農水省幹部は「おっしゃる通り」と認めざるをえませんでした。
やせ細った所得補償
日本農業新聞は「戸別補償加入促進 本格実施の確約が鍵だ」と指摘しましたが、「本格実施」に赤信号がともっています。
2009年のマニフェストでは、主な農産物や畜産物、さらに水産物まで加えた戸別所得補償の実施を約束。07年参院選では野菜と果物にも実施し、米価は最低でも1俵1万5000円を保障することを約束していました。ところが、今年から始まったモデル事業が保障するのは、生産費を3000円以上も下回る水準。ずいぶん、やせ細ったものですが、来年からの本格実施では、さらにひどいものになることは必至です。
マニフェスト大幅修正次々に
子ども手当や高速道路無料化など、マニフェスト修正が相次いでいますが、戸別所得補償もその一つ。マニフェストに書いてあるのは「モデル事業を検証しつつ、段階的に他の品目および農業以外の分野に拡大します」と、木で鼻をくくったような言葉。
民主党の戸別所得補償小委員会は6月15日に、米と畑作物に限定し、他の農産物や畜産物、水産物は見送る方針を決めました。公約の大幅修正ですが、これについては何の釈明もありません。
軍事費や大企業・大資産家優遇税制にメスを
さらに無責任なのは、戸別所得補償制度導入の財源として、昨年のマニフェストにかかげた1兆4000億円どころか、最近、民主党政権が言っていた1兆円も明記されていないことです。
今年のモデル事業と水田・畑作所得安定事業を合わせた予算は8000億円で、これに2000億円を上積みした1兆円で、やっと米と畑作物に限定した所得補償が実施できるというのが農水省の試算です。ところが、1兆円も明記しない――。
その秘密は大風呂敷を閉じざるをえなくなった財源破たん。6月22日に閣議決定した「財政運営戦略」では、予算増加をともなう新施策を実施する場合は、他の予算を削るか、新たな歳入確保措置をとることが義務づけられています。農水予算の場合、今年、土地改良予算を3分の1に削ってしまったので削る余地はなく、新たな歳入もありません。軍事費や大企業・大資産家優遇税制にメスを入れず、農水予算の“トモ食い”をやっているかぎり、確保できるはずがありません。
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だれもが、豊かな農村と持続可能な農業の再生を願っています(5月の長野・安曇野。撮影=上高地美鈴) |
価格下落を放置する無責任
農民が不信を抱いているのは「価格支持政策はWTO違反だから、一切やらない」というドグマにしばられて、米価下落に何の手もうたない民主党政権の頑迷さです。
自民党や公明党、自民党から“家出”した各種の新党も、自公政権時代に作り出した「価格保障ゼロ」状態と農産物価格の下落にはまったく無反省で、戸別所得補償廃止を絶叫するだけです。こんな「非建設的野党」に農民の命運をあずけるわけにはいきません。
価格保障と所得補償の組み合わせで
民主党政権と自民・公明勢力の頑迷な否定にもかかわらず、価格保障と所得補償の組み合わせは、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界の主流です。日本共産党は「主要な農産物にたいして価格保障・所得補償を実施し、再生産費を保障し、安心して農業にはげめる農政をつくります。コメは価格保障・所得補償によって一俵1万8000円を保障します」と公約していますが、この方向にこそ展望があります。
〈2007年参院選ビラ〉
米がたとえ1俵5000円になってしまったとしても
中国からどんなに安い野菜や果物が入ってきても
全ての販売農家の所得は補償され農業が続けられます。
〈2009年総選挙マニフェスト〉
○主な農産物、畜産物、水産物を対象に所得補償を実施
○予算額は1兆4000億円
〈2010年参院選挙マニフェスト〉
○米・畑作物に限定
○予算額1兆円も明記せず
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アレレ! ついこの前まで連立与党だったのに
「戸別所得補償を見込んだ買いたたきにより、米価の暴落が不安視されている」「この制度が所得向上につながる岩盤になるかどうかまだ不透明」
社民党は、食健連のアンケートにこんな回答を寄せました。同党がこれに先立って発表したマニフェストには「連立政権8カ月の成果」として、戸別所得補償モデル事業の導入をあげていますが、この変身ぶりは、二枚舌なのか、本当に反省しているのか、理解に苦しみます。
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(新聞「農民」2010.7.5付)
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