「農民」記事データベース20100621-929-09

食料のグローバル化とGM作物

生物多様性を脅かす

3氏が討論 生物多様性年記念講演会

関連/「食の安全と生協の今」めぐり“新たな運動が必要”と指摘


 「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」は5月25日、東京・日本教育会館で「生物多様性年記念講演会」を開きました。

 詩人のアーサー・ビナードさんが「『発見』の定義」をテーマに基調講演。人類に発見された後、絶滅に至った生物の例を示しながら、「発見とは、絶滅と同意義だ」と皮肉を交えて語りました。

 さらに遺伝子組み換え(GM)食品が生物多様性を脅かしている実態にふれ、自ら「GM食品を食べない、買わない」生活の実践を紹介しつつ、参加者に「環境にやさしい生活を心がけよう」と呼びかけました。

画像 パネルディスカッションでは、ビナードさんのほか、キャンペーン代表の天笠啓祐さん、秀明自然農法ネットワーク生産者の吉野修さん(千葉県香取市)が討論しました。

 天笠さんは「今世紀に入ってから鳥インフルエンザ、口蹄疫(こうていえき)のような感染症が広がるようになったのは、グローバル化により、世界中を食料が飛び交う時代に入ったことも関係しているのではないか」と問題提起。「GM作物の問題でも、輸入されたGMナタネがこぼれ落ち、日本古来の作物との交雑も起きかねない」と警告しました。

 ビナードさんは「グローバル化はWTO(世界貿易機関)、IMF(世界通貨基金)、世界銀行などによる、もうけのための貿易がもたらしたものだ。GM食品も、食料支配をもくろむ種子企業の謀略だ」と指摘しました。

 吉野さんは、無農薬・無化学肥料の自らの農法を紹介し、「農作業は雑草との競争だが、草があることで、小動物や微生物が生存でき、自然のサイクルが成り立っている」と述べ、生物多様性の重要性を強調しました。


「食の安全と生協の今」めぐり
“新たな運動が必要”と指摘

日本科学者会議が研究例会

画像 日本科学者会議食糧問題研究委員会は5月15日、東京都内で「食の安全と生協の今」をテーマに研究例会を開催。研究者や生協関係者ら20人あまりが参加しました。

 講師を務めた原英二さんは、生協の現場で食品の安全確保に携わってきた経験をふり返りながら、日本の生協が戦後、食の安全を求める消費者の運動として発展し、ヨーロッパと比較しても独特の力を発揮してきたことを強調。一方で近年、事業の巨大化や大手スーパーとの競合などを背景に、原点を見失う「危機」も進行していることを率直に指摘し、経営本位の「成長戦略」に固執するのではなく、「少子高齢化」や「貧困と格差」など、社会の新しい矛盾と向き合う組合員の運動をつくる必要がある、と訴えました。

 質疑応答では、「食卓の現実から議論を深める必要がある」などの意見が出されました。

(新聞「農民」2010.6.21付)
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2010年6月

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