農産物検査員研修・交流会開く
国の役割後退が問題に
求められる検査員の育成・補充
農民連ふるさとネット
農民連ふるさとネットワークは6月3日、都内で第6回農産物検査員研修・交流会(東京会場)を開きました。参加者は、質疑応答、意見交換を行いながら、米検査への理解を深めました。
開会前には、各地から持ち寄られた鑑定品の模擬検査を行い、検査結果を確認しあいました。
ふるさとネットの堂前貢代表が「省庁再編で農政事務所が廃止になり、自分たちで検査精度を高めることが求められる。今日の研修を大いに生かしてほしい」と開会のあいさつをしました。
元近畿農政局大阪食糧事務所業務監理官の佐保庚生さん(大阪農民連副会長)が、農水省の出先機関の改編・縮小で何が問題になるのか報告しました。
佐保さんは「再編の下で、技能の確認や研修会は、登録検査機関の『指導的検査員』がこれにあたり、指導的検査員の鑑定研修のため『程度統一会』を各県ごとに年2回実施することなどが検討されている」と報告。「周囲の環境などで個人差がでる肉眼鑑定で、鑑定精度の維持・向上のためには、国の統一的な指導が必要。年2回程度の、それも指導的検査員だけを対象にした『程度統一会』でそれが可能なのか」と指摘しました。
そして「公正・的確な検査のためには、年間を通じた鑑定技術の維持・向上の取り組みが必要であり、検査員の育成・補充には国の役割が重要」と述べました。
ふるさとネットの横山昭三事務局次長が、改正食糧法と米トレーサビリティ法について解説。改正食糧法が、加工・米粉・飼料の用途限定米の用途外使用を禁止し、罰則も強化されたことなどを報告しました。
さらに米トレサビ法について、「農家も10月から取引の記録と保存が、11年7月からは産地情報の伝達が義務づけられる」と報告しました。そして「米トレサビ法は米粉パン・めんを対象から除くなど不十分さもあるが、国民の運動の成果である」と強調し、農家は負担を強いられることになるが「十分な対策を」と呼びかけました。
閉会あいさつで、ふるさとネットの鈴木弥弘理事は「米価下落などで困難もあるが、検査の力量も高めて、農民連の米をアピールしよう」と呼びかけました。
(新聞「農民」2010.6.21付)
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