全国食健連が20周年記念フォーラム食・農と健康を結び
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討論する(左から)暉峻、本間、猪瀬、浅沼の各氏 |
元日本環境学会会長で前フェリス女学院大学学長の本間慎さんは「地球温暖化は農業生産を破壊する」と題して報告。「農業生産への温暖化の影響はすでに出ている」と述べた本間さんは「ブランド化された作物種は、温暖化により、その主産地での栽培が不可能となり、北方へと押しやられてしまう」と指摘しました。
また温暖化の影響は、果樹でみると全都道府県で出ており、野菜、水稲でも多くの影響がでていることを紹介しました。さらに「気温が上昇すると、害虫の種類や個体数が増加し、病害虫による被害が北上する」と述べ、「今後の食料問題を考えると、温暖化防止は緊急課題であり、CO2の25%削減は急務だ」と訴えました。
「子どもたちに食と農をどう伝えるか?」のテーマで報告したのは、学校給食栄養教諭で全日本教職員組合栄養職員部の猪瀬里美さん。
「苦手な野菜がない」という子どもはほんの一握りという実態を示し、それらを克服するために5年生になったら自給率、地産地消の学習、6年生では地元の野菜を使った献立作りを行う実践例を紹介。「給食で使う野菜を育てて、みんなに食べてもらいたい」と校庭に畑を作り、「肥料をどの位置にどのくらい入れたらよいか」「どうやって掘って植えたらよいか」と自分たちで考えて行う農作業の取り組みを述べました。
猪瀬さんは「農家の人にも学校に来てもらい、周りのおとなたちが手をつないで、子どもたちに学校給食の体験をさせたい」と語りました。
長野の佐久食健連、日本農村医学研究所の浅沼信治さんのテーマは「食と健康、農を結んで地域に共同広げる」。
日本で最初に病院給食を始めた佐久病院では、地域でとれた野菜をできるだけ活用し、看護学生や研修医には、農業のつらさや楽しさを体で知ってもらおうと農場実習を実施しています。旧臼田町(現佐久市)では、食文化の向上と安全な食を興すことを目的に、有機農業研究協議会をつくったことを紹介。89年に設立された佐久食健連は「食と農のつどい」を開催し、地元産の伝統食を楽しんでいます。
さらに「地域の生産物を、その地域の人が食べるという、かつての日本では『ふつう』だったことが壊されてしまった」と述べ、「地産地消のさらなる取り組みの推進で『ふつう』を取り戻し、食健連の運動を広げたい」と強調しました。
夜の結成20周年記念レセプションで民謡を披露する埼玉農民連副会長の高橋利男さんらのグループ |
労働運動に取り組む上でヒントになることが多く、いろんな団体と共同した取り組みを進めることが大事です。
[2010年6月]
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