「農民」記事データベース20100607-927-03

温暖化対策基本法案の「原発推進」

実効ある対策にならない

公害地球懇が緊急シンポ

関連/口蹄疫 感染防止、経営・くらし守れ


 公害地球環境問題懇談会(公害地球懇)は5月23日、東京都内で緊急シンポジウム「原発推進はほんとうに温暖化対策になるのか」を開きました。

 今国会に上程されている「地球温暖化対策基本法案」には多くの環境NGOから「実効ある温暖化対策になっていない」との強い批判があがっていますが、5月20日に衆議院で強行採決が行われ、今後は参議院での審議が始まります。同法案には温暖化対策として原子力発電の推進が盛り込まれています。

 シンポでは、環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也さんが、豊富な資料を使って基調講演しました。飯田さんは、風力発電や太陽光発電などの自然エネルギーがここ2〜3年の間に世界的規模で急成長していること、“普及すればするほど安くなる”という自然エネルギーの特徴などを紹介する一方、原子力発電が「温暖化対策に間に合わない」「コストが高い」などと世界的に縮小している実態を多面的に紹介しました。

 個別報告では、日本科学者会議原子力エネルギー研究委員会の野口邦和さんが、「原子炉の安全性に疑問あり」「放射性廃棄物の安全な処分の見通しがない」「軍事転用・核拡散のおそれがある」の3つの観点から原子力発電の欠陥を指摘。「原発ではなく太陽を!天草宝島ネットワーク」の生駒研二さんは、4回にわたる原発建設の動きを住民運動で跳ね返した経験を語りました。

 最後に、全国公害弁護団連絡会議(公害弁連)事務局長で公害地球懇幹事の中杉喜代司さんが、「地球温暖化対策法案が国会で審議されている今、原発ではなく、自然エネルギーを推進する政策こそが日本経済に真に役立つということを、私たちの運動で大いに広めていこう」と呼びかけ、閉会しました。


口蹄疫
感染防止、経営・くらし守れ

農民連・食健連知事に緊急要請 千葉

 千葉県の農民連と食健連は5月26日、県知事に対し「口蹄疫の根絶と畜産農民の経営と暮らしを守るための緊急要請」を行いました。県内でも畜産農家は厳戒状態にあるため、電話で聞き取りを行った農家の声を持って要請しました。

 要請に駆け付けた養豚農家の山崎光さんは、「現場は戦々恐々としている。経営難に加えて、“もし発症したら大変だ”“ころ合いを見て養豚をやめようか”の声も出ている」と、離農に拍車をかける事態を心配し、万全な対策を求めました。

 対応した県農林部畜産課は「千葉県は頭数が多いので、とりわけ初動が大事」として、宮崎県で疑似患畜が確認された翌日の4月21日、家畜保健所の職員を集めて対策会議を行ったことや、いち早く県内18市町村が、独自に消石灰を配布し、県も購入費用の半額補助を決めたこと、牛・豚の同時多発を想定して、初期防疫活動に必要な資材の追加備蓄を決めたことなど、これまでの取り組みを報告しました。

 そのなかでも、一番の問題として埋却場所の確保をあげ、「考えるほど眠れない」と、苦慮しているようすでした。

 また「集乳や飼料、家畜商といった関係車両の出入りなど、関係団体も含めて一体となった対策が必要」との県からの訴えに、同席していた千葉県北部酪農協の職員でもある安藤学さん(県食健連事務局長)は「その点は徹底するように私たちも働きかけたい」と述べました。

(千葉県農民連 小倉毅)

埼玉農民連も

 5月25日、埼玉農民連は「口蹄疫の感染防止に全力をあげること」など、4項目を県知事あてに申し入れました。

 県連の立石昌義会長らは「県内の牛、豚を飼う畜産農家は“明日はわが身となるかもしれない”と戦々恐々としている。感染防止に全力を尽くしてほしい」と要請。県の畜産安全課長は「昨日も関係の17団体を呼び、感染防止対策を申し合わせた。24時間体制で対応している」と答えました。

(埼玉県農民連 松本慎一)

(新聞「農民」2010.6.7付)
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2010年6月

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