鳩山政権の事業仕分けで
国の農業者大学校を「廃止」に
都道府県の農業大学校は統廃合?
関連/農業アカデミーぜひ存続を
農業後継者の育成に重要な役割を果たしている農水省所管の独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の農業者大学校(茨城県つくば市)と都道府県立の農業大学校(農大校)。ところが、農業者大学校は「廃止」、都道府県立農大校は統廃合の危機にさらされています。「存続してさらに機能の充実を」は、在校生、卒業生、教員、農家の強い願いです。
農業への関心高まり
入学者は増加傾向
政府の行政刷新会議は、「事業仕分け」で、農業者大学校を「廃止」と判定しました。同校は、農業経営者や地域のリーダーを育てる学校です。
「廃止」の理由は、「一定の役割を終えた」「都道府県の農大校と役割が重複している。地方に役割を託すべきだ」などです。「廃止」の判定を受け、同校の同窓生は、存続を求める要請を農水大臣あてに行ったほか、OB・OG、在校生らは署名運動を展開しています。
一方、道府県立農大校は42校あり、実習・研修などを積んだ卒業生は、農業の第一線で活躍しています。
全国農業大学校協議会(農業者大学校や道府県立農大校のほか民間農業教育施設4校の合計47校で組織)の調査によれば、全国42の農大校の2010年度の入学者数が5年ぶりに2000人の大台を突破し、前年度より約2割増えたことがわかりました。定員に対する充足率も3年連続して増加しています。(グラフ)
同協議会の木村一榮事務局長は「近年、農大校の人気が回復しているのは、雇用情勢の悪化、農業への関心の高まりが背景にあります。加えて、社会人や離職・退職者など入学者の多様化や各学校による生徒募集のための努力が功を奏しています」と分析します。
農業への関心が高まり、農大校の人気が回復しつつある一方で、都道府県のなかには、農大校の再編・統合の動きがあります。
(新聞「農民」2010.5.24付)
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