本の紹介
池田毅嘉・山下陽照 共著
狂牛病の黙示録
北海道猿払村における
BSE被害農家の苦闘の記録
関連/憲法リーフが完成
まだ狂牛病は終わっていない
BSEの本質を問う告発の書
BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)が日本で発生して8年がたち、4月にはアメリカの農務長官が来日して牛肉輸入の条件を緩和するよう圧力をかけています。BSE問題はもう解決したのでしょうか。「まだ狂牛病問題は終わっていない」と厳しく告発する本が出版されました。
「狂牛病の黙示録 北海道猿払村におけるBSE被害農家の苦闘の記録」と題するこの本は、日本で2例目のBSE発生被害農家となった元酪農家の池田毅嘉(きよし)さんと、行政や農協の技術職員を経て、「オホーツク立地農業研究所」を設立・主宰する山下陽照(はるてる)さんが執筆。
前半は「狂牛病とは何か」を専門家の立場から山下さんが解説し、後半はBSEの発生後、離農と家族離散に追い込まれた池田さん一家の苦闘を記録した手記となっています。
山下さんは、BSEの病原体が異常型プリオンタンパク質であることや、BSEが世界に広がった経過などを紹介。レンダリング(*)や本来草食動物である牛に肉骨粉を与えるような近代畜産のあり方にも疑問を投げかけています。また、日本でBSEが発生した経過も詳しく説明。肉骨粉の輸入禁止措置をとらなかった無責任な政府の怠慢の結果であり、人災だったことを告発しています。
池田さんは、乳房を損傷しやむなく廃用にした牛が、BSEに感染しているらしいと知らされた2001年11月21日を境に、娘夫婦とともに順調に営んできた家族酪農経営が一転。手塩にかけて育てた62頭の搾乳牛を失い、政府からの十分な補償もないまま離農と家族離散に追い込まれ、苦闘の日々となった8年間を克明に記しています。
「(原因とされる)肉骨粉など見たこともない」という池田さんの農場で、なぜBSEが発生したのか、原因はいまだに解明されていません。池田さんの「狂牛病の犠牲となった牛たちの、沈黙の叫びを忘れてはいけない」という言葉が、重みを持って読む人の心に迫ってきます。
▼出版元・注文先 寿郎社 TEL 011(708)8565
▼B6判208ページ
▼2100円(税込み)
*レンダリング 牛や羊、豚などから、食用にされる以外のくず肉や骨などを集めて加熱・脱脂処理し、肉骨粉にする処理方法。タンパク源として再び家畜のエサに配合する。
はがき大 宣伝などに活用を
憲法改悪反対共同センター
農民連も参加する憲法改悪反対共同センターはこのほど「憲法って、私たちの暮らしと関係あるの?」というはがきほどの大きさのリーフレットを作りました。
リーフには、「日本の憲法は、人として生きていく支えです」という俳優の西田敏行さんや市原悦子さんから寄せられたコメントや、「平和こそ営業・営農の土台」のページには、「愛・LOVE9条」という「9条田んぼ」の写真が掲載され、「いま農村では、平和への願いをこめて、『9条田んぼ』が広がっています」と紹介されています。
共同センターは、「『9の日』宣伝などで、ぜひ活用を」と呼びかけています。
注文・問い合わせは同センター(TEL 03・5842・5611)リーフ担当まで。1部3円です。
(新聞「農民」2010.5.3付)
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