米戸別所得補償モデル事業
米価の先安観に対抗
みんなで話し合い 加工用米生産に取り組む
福島・浜通り農産物供給センター
福島県の(農)浜通り農産物供給センターでは、米戸別所得補償モデル事業と水田利活用自給力向上事業を利用して、加工用米の生産に取り組むことにしています。
昨年12月、米モデル事業などの仕組みの骨格が明らかになった時、「米価の先安観に対応する“保険”として米モデル事業などを利用しよう。組合員がこの事業を利用できる体制をつくる必要がある」との思いを強くしました。
幸いだったのは、福島県連に昨年11月の時点で加工用米のオファーがあったことです。さっそく認定方針作成者になることを理事会で決定し、12月24日に組合員への説明会を開催しました。
いま、米モデル事業などの加入申請が始まっていますが、出来秋には米価が大暴落するのではないかという不安がますます高まっています。「たたかわなければ、米モデル事業は農家への所得補償でなく、大手量販店と一部米卸への所得補償になってしまう」と、組合員は語っています。
なお、現時点で加工用米(ヒメノモチ)に取り組む組合員は23人、作付面積が2293アール、出荷予定数量は約3900袋(30キロ)です。
(浜通り農産物供給センター 中井信也)
「参加しない」が多数
岡山県農民連
岡山市では、米戸別所得補償モデル事業への「参加申込書」と「営農計画書・水稲共済異動申告票」が、4月8日を提出期限に各農家に配布されました。しかし、農家組合長(各部落ごと)を集めた事前の説明会に参加した人に聞いても「さっぱり分からない」「質問しても『詳しく分からない』との返事で要領を得ない」というのが実情で、農家に戸惑いが広がっています。
そこで岡山県農民連は、学習会を緊急に計画し、これまでに3つの地域で開催。農家からは多数の質問や不安が出されました。
ところが、大半の農家は「制度に参加しないつもり」との意向を示し、主催者の私たちの方が戸惑いました。その最大の理由は、転作作物である麦の価格低迷です。以前は、多くの農家で小麦やビール麦を栽培していましたが、近年は品質の規格が年々厳しくなり、「飼料麦にされてしまうので採算割れになる」と生産をやめています。また、野菜やぶどうなどの果物は対象外であるうえ、耕作面積が40〜50アールの農家からは「4割減反して自家用の1反を引けば、残りはわずかなので意味がない」などの不満が出されました。
さらに「この制度移行をきっかけに生産者米価の大幅下落が予想されている。どちらを選択しても今年の収入は大幅下落を覚悟しなければならない」「減反で苦しんできた農家の気持ちがわかっているのか」など、怒りの声も聞かれました。
(岡山県農民連 坪井貞夫)
(新聞「農民」2010.5.3付)
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