茨城 県南筑波農産センター移動直売所
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「食べ方は?」―売り子当番の生産者とお客さんとの情報交換も大にぎわい |
取手中央タウンは、駅にもほど近い1500世帯が入居する分譲団地。ところが入居開始後30年がたち、住民の高齢化が猛烈な勢いで進んでいます。「なにしろ団地なので二世帯住宅に増改築もできず、成長した子ども世代は団地を出ていかざるをえない。当然、住民の買い物の量も減り、商店街が消え、去年9月には団地内のスーパーも撤退してしまって。困りましたねえ」と言うのは、自治会長の岩壁幸一さんです。「高齢化して、車の運転もままならない住民も多くて、どうしても歩いて行ける範囲に買い物できる所が必要だったのです」
事態を重く見た岩壁さんたちは、自治会内に検討委員会を設置して、他の業者に出店を頼んでまわりました。しかし、もうかる見込みの薄い出店を承諾する業者は、現在に至るも現れていないのが実情です。
取手市でも“無縁社会”“貧困・格差”が深刻化しています。市内では昨年1年間だけでも27人の一人暮らしのお年寄りが孤独死を迎えており、1年半後に発見された事例もありました。
「“郵便物がたまっている”とか“洗濯物が干しっぱなし”とか、そういう変化は住民同士が顔を合わせないと表に出てきません。それに、孤立して引きこもりがちな住民を、なんとかして外に引っ張り出したい。買い物を住民同士のふれあいの場に、というのも直売を頼んだ原点の一つだったんです」と、岩壁さんは熱い思いを話してくれました。
いままさに、移動直売所での買い物タイムは、地域交流の楽しいひと時になっています。「久しぶりじゃない。元気だった?」「先週は孫が来てて」「あら、よかったわねえ」――お客さん同士も買い物しながら、おしゃべりに花を咲かせています。
昨年9月から始まった直売所の前で出発前の準備中。新鮮な野菜が続々と集まってきます |
「この移動直売所に取り組んだことで、人と人のつながりや、街づくりのあり方、そして地域に農業があって、命の支えである食糧を届けていく大切さを、とても考えさせられています。私たちの産直運動はこれまで安全・安心を掲げて共同を広げてきたけれど、そこに満足してしまうのではなく、野菜ボックスも届かないような人々と今後どのように共同し、連帯していくのか、考えるべき時ではないでしょうか。小さくて、大もうけはできなくても、人と人がしっかり結び合えるこういう取り組みも、これからの農民連の産直運動に求められていることなのかもしれません」
全国食健連20周年記念フォーラム 21世紀のいま…、語ろう!食と健康、農林漁業の未来を |
▼とき 5月29日(土)午後1時30分〜5時 ▼ところ 東京「新宿農協会館・7階大会議室」(新宿駅南口徒歩6分) ▼報告者 農業経済研究者・暉峻衆三さん、元環境学会会長・本間慎さん、栄養士・猪瀬里美さん、日本農村医学研究所・浅沼信治さん ▼参加費 500円 ▼参加申し込み・問い合わせ先 TEL 03(3372)6112 |
(新聞「農民」2010.5.3付)
[2010年5月]
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