都市農業を守ってがんばる
国分寺直売会(東京)
農・農研首都圏支部見学会開き意見交換
農業・農協問題研究所首都圏支部は3月6日、JA東京むさし・国分寺産直会(榎戸武司会長ほか23人)の取り組みについて、メンバーの小坂良夫さん、中村克之さん、榎戸武司さんの畑や施設を見学し意見交換をしました。都市農業を守るために、生産・流通・販売に力を合わせて活動していることを知り、たいへん感銘を受けました。
小坂さんは夫婦、両親、昨年就農した息子さん、それに援農ボランティアなどの協力で年間50種類以上の野菜を作っています。中村さんは2年前にIT系の仕事をやめて昨年3月に就農。ログハウスを用いた直売所、ホームページの開設、農水省の助成事業を利用してイチゴの高設栽培に取り組んでいて、年末に収穫を予定しています。10代目にあたる榎戸さんは、夫婦と25歳の息子さん、母親の4人でトマト、ナス、ブロッコリー、キャベツ、ダイコンなどの露地野菜をつくり、息子さんは助成事業を受けて新しいハウスでトマトを作る予定です。
3人とも農業を継ぎ、安心でおいしい農産物を作ろうとたい肥や栽培方法も研究しています。しかし都市化の中で、農業を続けていく条件は年々厳しくなっています。榎戸さんは3年前まで養豚を経営していましたが、野菜に転向。中村さんの畑は道路建設で1・2ヘクタールから0・8ヘクタールに減らされる予定です。
国分寺産直会は18年前、国分寺市営農推進協議会壮青年部会に所属していた野菜・果実の生産者17人で発足しました。この間、国分寺駅前などでの直売や量販店・中学校給食への出荷、幼稚園・小中学校、大学生を対象にした農業体験、駅周辺のゴミ拾いなど環境美化の活動に取り組んでいます。こうした取り組みを聞きながら、「なぜ意欲を持ってがんばっているのだろうか」と考えました。産直会という組織があり、仲間がいるからではないか。会員のメンバーは「おいしい野菜を身近な消費者に提供したい」など、都市農業にかける思いや意欲を語っていました。
(農業・農協問題研究所会員 西村正昭)
(新聞「農民」2010.3.29付)
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