新会長の紹介
福岡 水稲と野菜の専業農家
市吉(いちよし)孝敏さん
若者が農業できる農政に
2月20日に開かれた福岡県農民連の定期大会で、市吉孝敏さん(78)が新しい会長に選出されました。
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私は、妻と長男夫婦といっしょに暮らす専業農家です。1950年に農業高校を卒業した後、家業を継ぎ農業に従事して現在にいたっています。戦中戦後の一時期は、増産、増産の掛け声で、作った食糧は強制的に取り上げられていました。終戦後の食糧不足の時代は牛馬耕の農業で、耕運機を使い始めたばかりでした。水稲の裏作は全部麦を蒔(ま)いていたころです。今では考えられませんが、有畜農業といって牛馬1頭、豚は3頭、鶏は50羽という営農が推進されていました。私も豚の仔(こ)取り(繁殖)を30年近くやりましたが、デンマークや台湾などからの輸入が増えて辞めざるをえませんでした。
私が農民組合に入ったのは20年前で、まだ食糧管理法のある時代でした。「特別栽培米」という名目で、新日本婦人の会に直接米が売れるように食糧事務所に何回も交渉に行った記憶があります。今は、水稲が2・5ヘクタール、小作を含めて50アールほどの畑で露地野菜を作り、若宮農民組合に産直米と野菜を出荷しています。
人類のある限り、食糧は絶対に必要です。農業で生活ができ、若者が喜んで農業を継ぎ、喜んで農家に嫁が来る。そんな農業で生活できる農政を勝ち取りたいと、老体にムチ打ってがんばります。
(新聞「農民」2010.3.29付)
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