JA全中がWTO交渉で国際シンポ
食糧主権確立などを基本理念に
世界各国で連携強めよう
JA全中(全国農協中央会)は3月18日、都内でアメリカとヨーロッパの農業団体の代表を招いて、「WTO農業交渉対策国際シンポジウム」を開き、各県の農協代表など500人が参加しました。
シンポジウムでは「すべての国に国内で消費する食料を生産する権利(食糧主権)」を確立することなどを基本理念とする「共同宣言」を採択し、世界の農業者の主張にしていくことや、国内でも各界各層に訴え、共同を広げていくことを確認しました。また、WTO農業交渉で焦点となっているモダリティ(保護削減の基準)案について、「いかなる形態の上限関税も受け入れられない」「セーフガードは維持されなければならない」などの具体的な提案を盛り込みました。
パネル討議では、ヨーロッパ農業団体連合会(COPA)のパドレイグ・ウォルシュ会長が「多国籍企業が恩恵を受ける自由貿易ではなく、農業の多様性を発揮できる公正な貿易ルールを確立するよう、私たち農業者は訴えていかなければならない」と発言。またアメリカのファーマーズユニオン(NFU)のロバート・カールソン理事は「私たちは協力しようとしているのに、WTOは先進国と発展途上国の農家を競争させようとしている。農業者の権利をいっしょに主張しよう」と呼びかけました。JA全中の茂木守会長は、募金活動や技術研修、協同組合づくりなどでアジアの農業を支援している活動を紹介し、世界の農業者団体の連携強化を訴えました。
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一方、前日に外務省が経団連(経済団体連合会)の後援で開いた「EPAシンポジウム〜アジア太平洋地域の広域経済連携」は、自由化推進論者の大学教授などが一堂に会し、「韓国に負けるな」「日豪EPA締結を足場に日米FTAを結べ」などの大合唱になりました。
特に、東京大学教授の本間正義氏は「自由化による損失に戸別所得補償で対応し、JA全中に距離をおく民主党に期待している」「日米FTAを3年後に締結すると決めれば、農家はどんどん離農し『構造改革』が進む」など、持論を早口でまくし立てました。
(新聞「農民」2010.3.29付)
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