「食品の安全最前線」を出版
食品分析センター所長・石黒昌孝さん
運動と連携し行政動かす役割数々
輸入農産物が6割を占める日本。食の安全・安心が揺らいでいるもとで、農民連食品分析センターの成果や実績をまとめた「食品の安全最前線―農民連食品分析センターが明らかにしたこと」が刊行されました。著者の石黒昌孝食品分析センター所長に聞きました。
本書では、分析センターがこれまでに分析した残留農薬や遺伝子組み換えなどの検査結果とデータだけでなく、農民連や食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)の運動とあわせて、業者や行政を動かし、食の安全を守る上で、いかに重要な役割を果たしてきたのかについて踏み込みました。
たとえば中国産冷凍ホウレン草の問題では、基準を超えた残留農薬を検出し、厚生労働省に調査するよう申し入れた結果、違反が多数見つかり、スーパーの店頭から冷凍ホウレン草が消えました。その後、食品衛生法が改正され、大量の違反が検出された場合、輸入禁止の措置がとられるまでに発展しました。
輸入ホウレン草とグリーンピースを使ったベビーフードの残留農薬問題では、業者に改善を申し入れた結果、その後、国産の無農薬ホウレン草を使うようにさせました。
同時に、分析センターは、輸入農産物の怖さを明らかにしてきただけでなく、国産農産物がビタミンCなど健康によいことも証明してきました。
本書を読むことで、自分がふだん食べているものに関心を向け、「輸入物でなく国産品をもっと食べよう」と、食生活を改善するきっかけになってくれればと願っています。さらに輸入を規制し、農産物への価格保障で国内農業を再生させ、食料自給率の向上、国民の健康を守る運動を進めたいと思っています。
▼定価 1400円+税。申し込みは、農民連本部または自治体研究社 TEL 03(3235)5941、Fax 03(3235)5933まで。
(新聞「農民」2010.3.15付)
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