「農民」記事データベース20100301-914-14

農民連青年部第18回総会 最高の80人参加

若々しく活動学び、交流
刺激しあい、強い結びつきを

地域の非農家青年と深く交流

関連/選出されたおもな役員
  /参加者の感想

 農民連青年部は2月13、14の両日、東京都文京区で第18回総会を開催しました。80人を超える過去最高の参加者で、会場は開会時から満員。若々しく打ち解けた雰囲気のなかで、熱心に学び、交流を深めました。


 厳しいなかにも希望を感じる

 青年部長の杵塚歩さんは開会あいさつで「農業情勢が厳しいなか、年々参加者が増えていることに希望を感じる。全国から、農業への関わり方もさまざまな人たちが集まるのが農民連青年部の強み。各地の特徴ある活動を交流し、お互いに刺激しあって、地域の青年の結びつきを強めよう」と呼びかけました。

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80人を超す参加者で会場はいっぱいに

 環境保全などの役割に注目する

 続いてNPO法人生物多様性農業支援センター理事長の原耕造さんが「食料生産だけではない農業の役割」と題して特別講演しました。原さんは「これまでの農業は、食料生産=『業』の面だけが強調されて近代化・効率化が推し進められた結果、さまざまな歪みをかかえることになった。これを打開するには、本来の『農』が持っている、環境保全などの役割に注目する必要がある」と問題提起。ヨーロッパでは環境を守る農家に対する所得補償が行われていることも紹介したうえで、とりわけ日本の水田は、大きな生産力と同時に生物多様性を維持する貴重な役割を持っていることを強調し、「今秋、名古屋で開かれる生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)を、『農』に対する国民の理解を深める機会にしよう」と訴えました。

 続いて分散討論や質疑応答が行われ、「所得補償に税金を使うことに納税者の支持を得るのはむずかしいのではないか」という質問に対して原さんが「すぐに支持されなくても、ねばり強く理解を求めるしかない」と答えるなど、率直な意見が交わされました。

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特別講演の原さん

 各県の活動を生きいきと紹介

 2日目の会議では、「多彩なイベントを開催し、全国に青年部の組織を作ろう」などとした今後1年間の活動方針が幹事会から提案され、承認されました。役員の改選も行われ、杵塚部長(再選)ら20人を選出しました(別掲)。

 各地の活動事例の報告は、参加者の多くがもっとも関心を寄せるところです。会場内に各県が手作りのポスターを張り出し、会議のなかでもスライドなどを使って報告が行われました。

 「地域の青年団体の人たちと農業体験などの活動を重ねるうち、『みんなで耕作放棄田を再生して米を作ろう』という本格的な取り組みにつながった。いろいろな職業の人たちや芸術家との交流も生まれ、いっしょにマーケットを開いたりしてもいる」(千葉)、「青年部づくりはなかなかうまくいかなかったが、非農家の青年にも呼びかけてみそづくりや米づくりを始めたら、だんだん参加者が増えて農業青年も集まるようになり、『わこうど結ネット』の結成にいたった」(静岡)、「東京の女性を誘って農業体験ツアーを行っている。地元の青年との交流も広がった」(山形、4面に関連記事)などの事例が紹介されました。

 共通しているのは、農家だけに対象を限らないことで活動を発展させていること。「飛躍のカギは非農家の女性にも参加してもらうこと」との指摘もありました。

 また、「むずかしく考えずに少人数でも青年部を発足させ、活動を始めた」(新潟、兵庫)など、新しい動きも紹介されました。

 「総会イチバ」で味見しお土産に

 自分たちのつくった農産物を通じた交流も農民連ならではです。恒例の夜の交流会のほか、初めての試みとして会場の一角に即売コーナー「総会イチバ」が設けられ、参加者は果物やお茶、みそなどを、互いに味見しながら買い求め、お土産にしていました。

 総会には高橋ちづ子衆議院議員(日本共産党)、白石淳一農民連会長が来賓として出席し、あいさつしました。

選出されたおもな役員(敬称略)

部長=杵塚歩(静岡・再)
副部長=岩渕望(福島・再)、植田修(京都・新)、高橋範行(和歌山・再)、星智也(山形・新)、坂本一石(分析セ・新)、事務局長=森吉秀樹(本部・再)、会計=武田伸也(本部・再)


参加者の感想

 様々なイベント企て交流の場に

  植田修さん(29・京都)
 今回の総会は、農家以外の人も多く参加して、幅広い交流ができたのがよかったです。京都にはまだ青年部がないのですが、非農家の青年は農業体験などへの関心が強いので、さまざまなイベントを企画して、交流の場をつくっていきたいと思います。まずは3月の茶畑の苗植えからスタートの予定です。

 たくさんの刺激もらいよかった

  相沢堅さん(28・新潟)
 深い考えはなく青年部に加入しましたが、交流会や今回の総会に参加して、たくさんの刺激を受けました。農業は基本的に個人でやるので、ときに考え方が偏ったり、行き詰まってしまうことがあります。そんな時に、新しいものの見方や異なる意見を交換できる青年部の交流は、とてもありがたいです。できたばかりの新潟青年部の活動も、もっと広げたいです。

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各地の活動報告に熱心に聞き入る参加者

(新聞「農民」2010.3.1付)
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2010年3月

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