「農民」記事データベース20100301-914-08

農家民宿「やまべつ荘」

“きてくなんしょ!”
笑顔でお迎え

福島県・郡山農民連会員 佐藤久美さん太一郎さん夫婦

 「きてくなんしょ!」――福島県郡山市逢瀬町にある農家民宿「やまべつ荘」を訪れると、「おかん」こと佐藤久美さんとご主人の太一郎さんが、笑顔で迎えてくれます。佐藤さん夫婦は、郡山農民連会員。農機具小屋として使っていた古い穀物倉庫を移築・改修し、農家民宿を始めて今年で3年目になります。


ウチのこだわりはねー

採りたて野菜と自慢の米
農業・手作り体験です

 調理師で働いた経験を生かして

画像 「やまべつ荘」のこだわりの一つは、採りたての野菜と自慢のお米を、おなかいっぱい食べてもらうこと。そして二つ目が農業・手作り体験を楽しんでもらい、農業と農村の良さを知ってもらうことです。

 料理は、病院や保育園給食で調理師として働いた経験を生かして久美さんが腕をふるいます。野菜が嫌いだった子どもが、ニンジンの間引き作業を体験して「ニンジンて甘ーい」と食べられるようになったり、夏の完熟トマトのおいしさに目を輝かせたり…。「旅館のようなごちそうではないけど、うちや近所の畑で作った新鮮で安全な野菜を喜んでもらえるのがうれしくて」と久美さんは言います。

 農村生活そのものを体験できるのも「やまべつ荘」の大きな魅力です。田植え、草取りとホタル狩り、稲刈りと1年を通して農作業体験に通った家族もいれば、毎年、太一郎さんとタケノコ掘りをして水鉄砲を作り、全身泥んこになって遊んでいく学童保育の子どもたちも。この他にも餅つき、凍(し)み豆腐作り、近所のおじいさんが先生を務めるワラジづくりなど、通年で多種多様な体験をすることができます。

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いろりでなごめます

 時代にあった複合経営に

 「やまべつ荘」が始まったきっかけは、トラクターを少し大きなものに買い換えたことでした。それまで農機具小屋として使っていた穀物倉庫に収まらなくなってしまい、農機具小屋も建て替えなければならなくなりました。「まだ使えるし、味わいのある建物なのに、もったいない」と、穀物倉庫を移築し、それまで温めていた農家民宿のアイデアを実行に移すことになったのでした。

 太一郎さんは、「農家民宿で生計を立てていこうと思ったわけではなくて、老後の楽しみにと思って始めたんだよ」と、いたって自然体です。2・7ヘクタールの田んぼと0・3ヘクタールの畑を、兼業しながら作り続けてきた佐藤さん夫婦でしたが、米の輸入と米価下落が続き、かつては規模拡大を考えたこともあったそうです。「でも最後は、うちは規模拡大しないで、消費者を受け入れたり、直売所に出したり、時代にあった複合的な経営をしていこうって、相談したんです」と久美さんは振り返ります。ヨーロッパの農家民宿の話を聞いたのもそんな時でした。

 以来、長野や秋田の農家民宿の先進地を視察したり、久美さんは集落センターのパソコン教室に通ってホームページを始めるなど、少しづつ準備を進めてきました。最後は役場に通いつめて、郡山市の農家民宿認定第一号を取得しました。

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入口に立つ佐藤久美さん

 農業体験でも、野菜作りでも、心強いのが地域の仲間たちの応援です。「農家民宿を始めて、人の輪が広がっていくことがとってもうれしい」という久美さんです。

 「やまべつ荘」 料金(大人一人一泊夕・朝食つき) 体験なし5,000円、体験あり6,500円 TEL 024(957)2671 ホームページ http://www14.plala.or.jp/YAMABETU/

 

(新聞「農民」2010.3.1付)
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2010年3月

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