元気なお母さんたちの出番
変革の時代きりひらこう
農民連女性部第21回総会 史上最高の162人
「学びと支えあいを力に、希望をひろげよう」――今年で創立20周年を迎えた農民連女性部が、2月14・15の両日、東京都内で第21回総会を開きました。全国から史上最高の162人が参加。大いに学び、語り、笑い、食べ、「農業女性の元気で、変革の時代を切り開こう」という熱意あふれる総会となりました。
学び 9条花壇の花々会場をいろどる
富山県花(カ)卉(キ)球根農協から贈られたチューリップの鉢植えや、岩手県女性部のミニ9条花壇の花々が会場にいろどりを添えるなか、総会がスタート。
神戸大学教授の二宮厚美さんが「民主党政権のもとで、どうなる暮らし農業」と題して講演しました。二宮さんは、「農産物と福祉は人間にとって永遠に必要なものであり、自分たちの地域で自給するのが、新しい福祉国家としての日本のあり方」と強調し、「格差や貧困問題、財政難などの難問を解決していくには、大金持ちから不利を被っている農業などの分野に所得を再分配することが求められている」と、ユーモアを交えて語りました。
また農民連女性部も加盟する日本婦人団体連合会(婦団連)会長の堀江ゆりさんが昨年国連がまとめた「女性差別撤廃条約」の日本報告書について講演し、日本政府に対して60項目もの勧告が指摘され、とくに農林水産業分野の女性については「十分な調査もしていない」と厳しく追求していることを紹介しました。
女性部副部長の高橋マス子さんが、女性部創立からの20年のあゆみを振り返りました。
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「9条花壇」の表彰ではチューリップの鉢植えが贈られました |
語り 笑い きびしい農業情勢のもと支えあう姿生きいき報告
討論では、厳しい農業情勢のなかでも、がんばっているお母さんたちの奮闘が輝きました。
「県の女性部を結成。楽しいことからと、毎週直売所を開いて、男性も元気になった」と、鹿児島の松山文子さん。京都の吉田邦子さんは「府の女性部を再結成した。地域での学習をすすめたい」と発言しました。
昨年の総会で提案された「9条花壇」の取り組みも報告されました。群馬の野口恭子さんは「軽い気持ちで始めたが、やってみたら大変だった。でもみんなで取り組めて、やってよかった」と述べました。福岡の藤嶋嘉子さんも「9条花壇ならぬ9条花畑をやってみた。試行錯誤したが、新聞『農民』の1面にカラーで載ることができた。農業体験で受け入れている青年たちと“平和を語る夕べ”を開き、平和について語り合えた」と発言。総会では「9条花壇」に取り組んだ4つの女性部の表彰も行われました。
もちろん厳しい報告も。埼玉の中島仲子さんは「小麦の価格が1キロあたり20円に暴落し、とうとう生産をやめた。民主党は所得補償するというが、価格保障がなくては補助金漬けでも生産費が出ない」と強調しました。この他にも「かんきつ価格が暴落し、耕作放棄地が広がっている」(静岡・佐藤妙子さん)、「ミカンを作っているが、鳥獣被害が深刻。価格が暴落して肥料も買えず、品質が落ちて悪循環の農家が増えている」(愛媛・宇都宮孝子さん)などの深刻な声もあがりました。
農業の後継者が育っているという、うれしい報告もありました。「息子が青年部総会や交流会に参加して、“農業を守らねば”とわが家の米作りに積極的に取り組み始めた」と語った岐阜の可児すみ子さん。千葉の加藤やえ子さんは「直売所で後継者育成に取り組んでいて、6組の夫婦が就農した」と発言しました。また青年部部長の杵塚歩さんは「就農して7年。農業・食文化は、女性も男性も協力しないと守れない。青年部と女性部を連携させて、盛り上げていこう」と呼びかけました。
このほかにも、「所得税法56条で家族労働が認められていないために、保育園の申請書に収入を書けなかった」と悔しい思いを語った茨城の椎名知哉子さん。「直売所を始めたら、野菜を作っているお母ちゃんたちが元気になった。スーパーが撤退して週1回の直売が待たれている都会の地域もある。今こそ農民連の出番」と強調した茨城の小林恭子さんなど、元気な発言が続きました。
最後に、女性部長の久保田みき子さんが「政治のニュースにはわからない言葉も多くて難しいけれど、学ばなければ何も変えていけません。私たちは学び、支えあい、農業の実態を周りに知らせて、運動を広げていきましょう」と、呼びかけました。
総会には、JA女性協議会から激励のメッセージが届いたほか、日本共産党の紙智子参議院議員があいさつしました。
食べ ふるさとの自慢料理大集合盛り上がった恒例の交流会
恒例の夜の交流会には、例年にも増して多くのふるさとの自慢料理が大集合しました。その数およそ140品目ほど。
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テーブルにのりきらないほどのごちそうの数々 |
ハタハタの飯ずし、米粉ケーキ、ワカサギの南蛮漬け、梅のカリカリ漬け、炊き込みご飯、ふきのとうの天ぷら、花インゲンふくめ煮、各地のイチゴ、ジュース…など多種多彩な料理で、テーブルがいっぱいになりました。埼玉の田村幸子さんは「女性部20周年のお祝いだからと、お嫁さんが2つもケーキを作って持たせてくれました。本当に自慢のお嫁さんです」と紹介しました。
これまた恒例となりつつある踊りのコーナーでは、今年はなんと「オクラホマミキサー」に合わせて、「ドジョウすくい」の振り付けを踊って、大盛り上がりとなりました。
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盛り上がった交流会。「オクラホマミキサー」に合わせて踊る「ドショウすくい」も登場 |
(新聞「農民」2010.3.1付)
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