「農民」記事データベース20100222-913-03

畜産・酪農

このままではやっていけません

生産費賄い安心して営農したい

関連/全国の畜産農家の皆さんに訴えます


 2月下旬に、今年の畜産を方向づける食料・農業・農村審議会畜産部会が開かれます。畜産の現情は…。

〈酪農〉 乳価は昨年少し上がり、北海道では80円前後。10月にはプール乳価が2円40銭引き下げられました。一方、高騰した飼料価格が高止まりのため、生産費は前年に比べ5%余り上昇するなど、酪農家の経営は本当に大変です。5年間で4400戸の酪農家が離農しています。

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きびしい経営が続きます。願いは「安心して営農したい」

〈肉牛〉 枝肉価格が低迷し、肉専用種、交雑種、乳用種も生産費が販売額を上回り、赤字経営となっています。そのため、牛肥育経営安定対策事業(マルキン)が発動され、農家の積立金が増額されています。子牛の価格が安いのも問題で、スモールが以前は1万8000円くらいでしたが、いまでは5000円で取引されています。肥育農家も牛肉が安く、見通しが立たないので育成を控えています。そのため、5年間で1万3300戸が離農しています。

〈養豚〉 豚肉の卸売価格は、対前年比16・7%も低下し、400円台前半を推移しています。都道府県単位の地域肉豚基金が発動されており、基金が不足している状況です。調整保管も実施していますが、価格引き上げの効果は30円程度で効果があがっていません。養豚農家は「1頭あたり1万円の赤字だ。子豚に輸入ワクチンを打つ費用も高く、本当に大変だ」と悲痛な声をあげています。

〈鶏卵〉 飼料代が上がっているのに、卵価はキロ当たり140円と低い価格で推移。生産者とJAで拠出している卵価安定基金で、基準価格キロ当たり191円以下の場合にはその差額の9割を補てんしていますが、基金が底をつく状況です。

 こうした赤字経営の根本原因は、安い肉や肉製品が大量に輸入されているからです。また、スーパーなど量販店の買いたたきも、ひどい状況です。


全国の畜産農家の皆さんに訴えます

畜産農民全国協議会会長 森島倫生

 全国の畜産農家の皆さん!

 民主党政権に対し、片手にくみ交わす銘酒ともう一方の手で励ましの剣を、の思いがつのります。私たちが心から喜べる日の到来を心待ちにしつつ、しかしただ待っているだけでは何も誰も動きません。

 私たち自身が消費者の皆さんとともに力を合わせて、声をあげることが重要だと訴えます。牛も豚も鶏もすべての畜種を超えて共同、共闘の輪を広げようではありませんか。

 文字通り座して死するか、立ち上がってものを言うかの選択の時です。言うべきことは山ほどあります。民主党は総選挙で、畜産も含めて農業と農家を守ることを約束したのですから、その実行を求めることは、理のあることです。

 食料・農業・農村審議会畜産部会に声を届けましょう。ぜひ、皆さんの願い、思いを畜全協に集中して下さい。

 ともに力を合わせてがんばりましょう。

(新聞「農民」2010.2.22付)
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2010年2月

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