COP16へ向け世論・運動の強化を
待ったなし!!地球温暖化対策
公害地球懇が代表団報告会
関連/存在感大きいビア・カンペシーナ
「待ったなし! COP15からCOP16へ」―農民連も参加する公害・地球環境問題懇談会(公害地球懇)のCOP15(国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議)代表団の報告会が、1月30日、東京都内で開かれ、80人が集いました。公害地球懇は昨年12月、COP15に26人の代表団を派遣。農民連、全労連、新婦人、公害・環境運動団体などが参加しました。
報告会では、CASA(地球環境と大気汚染を考える全国市民の会)専務理事で弁護士の早川光俊さんが、「COP15の到達点と今後の課題」をテーマに講演。「COP15は問題先送りに終わったが、120カ国もの首脳が集まり、10万人パレードが成功した意義は大きい。COP16にむけて世界中の世論の力がますます大切になっている」と呼びかけました。
COP15代表団の参加者からは、「食糧主権の確立と小農民による農業こそ温暖化を防止できる」(農民連)、「温暖化の被害が、途上国の人びとに降りかかっていることに胸が痛んだ。日本の温暖化対策を進める運動を」(新婦人)などの発言が相次ぎ、今年12月にメキシコで開かれるCOP16に向けて運動を強める決意を固めあいました。
COP15に参加して 農民連・武田伸也
行動のメーンは、12月12日のグローバル行動日でした。デモは、音楽を流してリズムに合わせて進みます。半分パレードのようで若者が多く、飛び入り参加も可能、誰もが楽しみながら自分たちの声を訴えることができます。ビア・カンペシーナの隊列の先頭にも巨大スピーカーとMC(盛り上げ役)を乗せたトラック、その後方に各国代表が旗を振って踊りながら進みました。
中央駅のすぐ近くには、クリマフォーラムが設けられ、軽食やオーガニックビールまで売っているカフェもあれば、自由に討論できるスペースなどもあり、誰もが気軽に立ち寄って、自由に交流できるようになっていました。このように自由に表現できる場が確立されているため、バケーションで来たというヨーロッパの青年もいました。少しでも意識があれば、自ら進んで参加できる環境(居場所)がヨーロッパ社会には存在していることを知り、このような環境作りも運動には重要だと学びました。
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グローバル行動日のパレード(コペンハーゲン) |
COP15の会議自体は空振りに終わりましたが、10万もの人びとが参加したということは、「気候危機は全人類の問題であり、猶予はない」ということを物語っています。農産物の輸送を含む工業的農業の排出量は、世界の温室効果ガス排出の22%を占めており、運送部門の排出(13・1%)よりも多く、農業部門は気候変動に対して非常に大きな責任を持っています。その中で、長期的展望を持たない大量生産の社会を否定し、小農民による持続可能な温暖化抑制に、実際に取り組んでいるビア・カンペシーナの存在感は確かなものでした。多くのメディアからコメントを求められていました。
ビア・カンペシーナへのこの注目を見て、どんなに小さな土地でも持続可能な農業に取り組むことは国際運動であり、これこそ「Think Global, Act Local(世界的観点で取り組む地元活動)」の象徴であると確信しました。農村が持つ力を世界の舞台で実感できた瞬間でした。
(新聞「農民」2010.2.15付)
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