「農民」記事データベース20100125-909-02

政府みずから買いたたき

備蓄米入札の結果は…

関連/インド・ベトナムの不作、フィリピンの大量輸入でトン当たり640ドルに上昇


 異常な安値ねらい、8万トン全量不落札

 農民連はじめ関係者が、昨年春以来、強く求めてきた備蓄米の買い入れ。政府・農水省はようやく16万トンの買い入れを表明し、12月18日、入札を実施しました。しかし、結果は全量不落札となりました。16万トンの買い入れ枠に対して42業者から8万トンを超える応札がありましたが、すべて予定価格を上回ったため不落札となったものです。2回目の入札は1月15日に実施されます。

 政府・農水省は「備蓄米を需給に影響を与えない買い方をする」として、「全国一本の予定価格(非公表)を設定し、それを下回る安い米から買い入れる」方式を採用。しかし、予定価格は市場価格を相当下回る安値の設定だったと見られ、鳩山政権の米の価格と需給の安定に対する姿勢が大きく問われています。

 昨年春以来の下落を続ける米価のもとで、今回の備蓄米買い入れは、多少なりとも需給引き締めの効果が期待されましたが、政府自ら米価下落を誘導するかのごとき姿勢に、関係者の間に衝撃が走り、16万トンという買い入れ数量の少なさと合わせて、「需給引き締めどころか米価はさらに下落」「10年産は07年産の7000円米価の再来」を予想する声さえ出されています。

 政府は米の需給と価格の安定に責任を果たせ

 鳩山内閣は、米の販売価格と生産費の差額を補償する「戸別所得補償モデル事業」に血道を上げていますが、戸別所得補償が市場まかせの米流通といっそうの米価下落を前提にした「対策」であってはなりません。自公政権が「米改革」の名のもとに米の管理責任を放棄し市場に丸投げした路線は、昨年の総選挙で国民のきびしい審判が下り、決着済みのはずです。

 ますます深刻化が予測される世界の食糧危機の時代に、わずかな過剰で米価が暴落するような政策で、どうして自給率の向上がはかれるでしょうか。「政府は米の需給と価格の回復・安定に責任を持て」「備蓄米は生産費に見合う価格で買い入れよ」「16万トンに加えて30万トン規模の買い入れを」―この声をいっそう大きく広げることが求められています。

(農民連ふるさとネットワーク 横山昭三)


インド・ベトナムの不作、
フィリピンの大量輸入で
トン当たり640ドルに上昇

国際米価

画像 国内では米価の低迷が続いていますが、国際米価はいま高騰しています。世界の輸出価格の基準とされているバンコク船積み(FOB)価格は、12月第2週にトン当たり640ドルとなり、前年同期を超えて上昇しています。

 深刻な干ばつにあっているインドでは、1500万トン近い減産が見込まれ、輸出を停止。逆に輸入を始めました。また、世界第2位の輸出国ベトナムでも、水不足から冬春米の作付けが3割近く減少する見込みです。

 一方、近年世界最大の米輸入国になったフィリピンでは、台風による洪水の影響から180万トンの輸入が必要となり、11月からベトナムとの価格交渉を始めています。しかし、2割から3割も国際米価が上昇しているため、予算不足に直面していると報道されています。

(新聞「農民」2010.1.25付)
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2010年1月

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