「農民」記事データベース20100118-908-01

鬼が吼(ほ)えた

農産物軒並み大暴落
“もうがまんできない”

関連/食と健康、農業を守る年に


再生産できる価格保障を
買いたたき・安売り規制せよ

 東京・有楽町で消費者に訴え

 年の瀬もせまった12月24日、買い物客などでにぎわう東京・有楽町のマリオン前で、“鬼が吼(ほ)えた!”。

 「ハクサイが1玉3円、ミカン1個3円、ブロッコリー1つ5円。米価下落で採算割れ。これでは年が越せない。農業が続けられない」。

 秋田の「なまはげ」や岡山の「茶屋町の鬼」、そして群馬の「エプロン鬼」も登場。農民連や食健連から約70人が参加して、ミカンを渡しながらチラシを配り、「買いたたきや安売り競争は、経済危機をさらに悪化させ、労働者の雇用をおびやかし、賃金の引き下げにつながります。政府に対策を要求しましょう」と市民に訴えました。

 「なまはげ」をまとった秋田県連の佐藤長右衛門委員長は「こんな農政をつくったのは誰だ。本当に怒り狂って東京さ出て来た。農家の苦しみをわがってくれ、緊急な対策をとってくれ」と、声をあげました。

 新潟県連の今井健副会長は「米も野菜も“市場原理だ”といって大手流通資本に買いたたかれ、もうがまんできない。作り続けられる価格を保障してほしい」と訴えました。

 買い物に来たという親子連れは「えっ! こんなに安いんですか。たしかにスーパーのチラシをみていると“安売りやってるな”って思いますが、これでは農家は本当にたいへんですよね」と話します。また60歳代の女性は「民主党に期待したけど、鳩山さんはなにやってるんでしょうね。お母さんから月に1500万円もお小遣いをもらう人に、庶民の気持ちがわかるんでしょうか」とあきれたようす。

 にぎやかな宣伝に多くの市民がチラシを受け取り、足を止めて対話する姿がめだちました。

画像
クリスマス・イブの日、買い物客などでにぎわう東京・有楽町に鬼があらわれました。「チラシのうけとりもよかった」と宣伝効果はバツグン

各政党に要請

画像 その後参加者は、45万トンの備蓄米買い入れや買いたたき規制などを各政党に要請しました。

 民主党は、副幹事長の一川(いちかわ)保夫参院議員が応対。「異常な農産物価格を是正せよ。価格安定のためには価格保障が必要だ」との白石会長らの指摘に、一川議員は「価格支持は消費者に転嫁することになるので難しい。必要な生産費を償うために戸別所得補償を導入した」との一点張り。備蓄米買い入れの要請にも「米価の安定は、農家の所得の安定で対応」と答えるにとどまりました。

 自民党は、農林部会長の宮腰光寛衆院議員が対応。笹渡事務局長らの熱心な要請に対して、宮腰議員は「みなさんの要請はよくわかった。民主党の戸別所得補償は算出根拠がはっきりしないし、全国一律の交付など現場を知らない政策だ。国会で堂々と論戦したい」と、民主党を批判しました。

 日本共産党への要請では、有坂哲夫農漁民局長が「価格政策をとらない民主党の政策は、いまの暴落に歯止めをかけることはできない。国民の力と運動で希望を持ってやっていける農政実現に向けて、みなさんとがんばりたい」と述べました。

 まとめの集会で、「茶屋町の鬼」を身にまとった岡山県連の坪井貞夫会長は「銀座で鬼になって宣伝するとお願いしたら、“おおいにがんばれ”と鬼を貸してくれた。地域で消費者といっしょに運動を広げたいし、農家の怒りの声をしっかり届けられるよう農民連を大きくしたい」と発言。農民連の笹渡義夫事務局長は「きょうの行動は大きな成果をあげた。私たちの運動には、多くの国民から共感が寄せられている。これを力にして新年からおおいにがんばろう」と訴えました。


新春宣伝

食と健康、農業を守る年に

画像
新年から出足早く、「今年こそ、食料自給率向上の年にしよう」と呼びかける農民連・食健連(1月8日、東京・新宿駅西口)
(新聞「農民」2010.1.18付)
ライン

2010年1月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2010, 農民運動全国連合会