農家は国の“縁の下の力持ち”若者が当たり前に農業できる時代がくれば
インタビュー/映画「アンダンテ〜稲の旋律」出演女優 新妻 聖子さん
旭爪(ひのつめ)あかねさんの小説を映画にした「アンダンテ〜稲の旋律」(監督:金田敬)が、いよいよ全国上映されます。映画のテーマは「食と農と大地、そして人間再生の物語」。引きこもりの生活に苦しむ主人公の千華が、農業に取り組む晋平との交流を通じて、再生の道を探っていきます。千華役を演じた女優の新妻聖子さんに聞きました。
原作の小説には本当に感動した―新妻さんは、ミュージカルの舞台やテレビなどで活躍されてきましたが、映画の出演ははじめてとお聞きしました。映画づくりはたいへんでしたか。新妻 はじめての挑戦でしたから、たいへんでした。舞台はシナリオの1ページからスタートするわけですが、映画は順番に撮っていくわけではなく、引きこもりの場面を撮ったかと思うと、次には農作業の場面になったり。でも、完成した映画を見たら、千華を追ったドキュメンタリーという感じに自然に仕上がっていて、安心しました。 ―はじめてシナリオを読んだ時はどんなことを思いましたか。 新妻 原作の小説には本当に感動しました。食糧問題にも以前から興味があったので、作品のテーマには非常に共感して、「運命かもしれない」と思いました。私は食べることが大好きで、おなかいっぱい食べる幸せを日々かみしめています。だから「おなかいっぱい食べられないということは、どんなにつらいことか」と世界の飢餓に思いをはせたりもしますね。 11歳から17歳までタイのバンコクで育ったんですが、そこの風土から“食べる楽しさ”を教わったような気がします。食育という点では、母の手料理が食のルーツ。新妻家の食事は、お菓子やパンに至るまですべてが手づくりだったので、母には感謝しています。
おいしい手料理“元気のもと”に―田植えや稲刈りなど農作業は、はじめての体験でしたか。新妻 ええ、田植えではひっくり返ってどろんこになる場面があったのですが、監督さんから「一発勝負でたのむよ」と言われて。もしNGを出したら、衣装からなにからやり直しで別の日になってしまいますから、かなり緊張しました。でもなんとか一発でOKが出て「やった〜!」という達成感がありました。ここはいいシーンになっていますから、お見逃しなく。その時は、かなり寒い日で、近くの農家のお風呂をお借りして泥だらけの体を洗いました。(笑い)
横芝光町民(千葉)、農民連の会員
―ロケ地は、千葉・横芝光町でしたが、町長さんはじめ町あげての支援になりました。私たち農民連の会員もお手伝いしましたが、ロケはいかがでしたか。 |
房総食料センターの事務所前で、生産者や職員に囲まれるVサインの筧利夫さん(中央=晋平役)と新妻さん(その右隣) |
新妻 農家が抱えている問題として、日本の食料自給率がきわめて低いことや若者の農家離れが進んでいることなどは知っていました。映画の中で少しだけ農作業を体験させていただきましたが、体力的にすごくきつい。しかし私たちは、農家の方がお野菜やお米を作ってくれなければ生きていけません。農家は国の“縁の下の力持ち”です。お医者さんと並んで本当に尊い職業だと思います。
今後、若者が選択肢の一つとして当たり前に農業を意識する時代がきて、農業人口が増えていけば、日本の食糧事情ももっとよくなると思います。
地元のお母ちゃんたちの手作り料理に“おいしい、元気がでます”。新妻さんと秋本奈緒美さん(右=逸子役) |
―この映画は、日本の農業とそれを支える農家を応援しています。いよいよ全国上映がスタートしますが、いまから楽しみです。
新妻 仕事は8割がつらくて2割が喜びだと思います。2割の喜びが得がたいものであれば、8割のつらさなんて消えてしまうのではないでしょうか。私も舞台でいただく拍手や声援、励ましの言葉などで苦労が吹き飛びます。こつこつと安全な農産物を作っている農家が感謝される、そんな日がかならず来ます。
そしてこの映画は、子育てや親との接し方に悩む人たちにもメッセージを送るはずです。ぜひ、映画館に足を運んでください。
〈上映のお知らせ〉
▼1月23日〜2月12日まで |
[2010年1月]
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