「農民」記事データベース20091221-906-01

全国食健連
09年グリーンウエーブ
中央集結集会

農産物の大暴落止まらず

このままでは年を越せない

関連/臨時国会 1件も採択されず

 米価の下落に加え、ブロッコリー1個5円、リンゴ1個3円……。年の瀬を迎え、農産物の大暴落が農家に重くのしかかっています。全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)は12月9日、全国各地で行われた2009年秋のグリーンウエーブ(食糧の波)の取り組みを締めくくる中央集結行動を都内で行いました。


政府はただちに対策とれ

 農水省前集会

 農水省前での要請行動には、食健連に結集する各団体の代表約200人が参加。農民連の白石淳一会長が、各地で農協などとの懇談を通じて要求が一致するなど「大きな変化を実感している」と述べ、「農民連、食健連が担ってきた運動の成果だ」と強調しました。

 さらに「農産物の価格破壊が農業を直撃している。このままでは年を越せない。緊急に打開が求められる」と訴えました。

 新日本婦人の会の玉田恵副会長は、全国4000のスーパーの調査結果を示し、自社ブランドを低価格で販売し、農家を買いたたいている実態を告発。「安全・安心の農産物を食べるために、農家に価格保障、所得補償を」と述べました。

 岡山農民連会長の坪井貞夫さんは山間地の集落が崩壊している現状にふれ、「国はこうした現状をつかんでいるのか。政治は何を見ているのか。くらしと地域を育てる政治を一緒に進めよう」と怒りの声をあげました。

 全国食健連の坂口正明事務局長は、11月末から12月にかけてスイス・ジュネーブで行われたWTO(世界貿易機関)閣僚会議に参加し、各国の仲間と行動したことを報告。民主党がWTOの「2010年内の妥結」に向けて今までの自民党とまったく変わらない政策をとっている点を批判し、「運動を政治革新につなげよう」と呼びかけました。

 参加者は、農水省に向かって、「農産物の暴落対策を行え」「いらない外米の輸入はやめろ」とシュプレヒコールを行い、怒りのこぶしを突き上げました。

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「このままでは年を越せない」と各団体の代表が集結

 各省庁交渉

 その後、参加者は、3班に分かれて交渉を行いました。第1班は農水省に農業・食糧問題について要請。戸別所得補償モデル事業、水田利活用自給力向上事業の実施は、補償水準が従来の基準を下回らないものにし、これまで産地確立交付金等で措置されていた野菜、花・球根など転作作物の生産が継続できるようにすること、100万トンまでの米備蓄にとどまらず、さらに30万トンの追加買い入れを生産費に見合う価格で行い、備蓄水準の拡大に踏み出すこと、FTA(自由貿易協定)・EPA(経済連携協定)、WTO交渉など、これ以上の自由化交渉はやめること―などを求めました。

 第2班は、青森、秋田、長野、和歌山、愛媛各県代表らが果樹の生産振興について要請。果実類の価格保障、果汁の原産地表示や輸入制限、中山間地直接支払い制度の改善、鳥獣被害対策などを求めて、農水省の担当官らと交渉・懇談しました。

 第3班は厚生労働省に、「輸入食品の水際での検査体制の強化」や「重大な違反をたび重ねているアメリカ産牛肉は全面輸入禁止にすること。BSEの全頭検査は、全額国が負担すること」などを要求。厚労省は「368人しかいない食品衛生監視員を大幅に増員したい」などと回答しました。

自給率向上署名を訴え

 新宿駅前宣伝

 参加者は新宿駅に場所を移し、西口と東口に分かれて、茨城県の常(ひ)陸(たち)野(の)産直センターと鹿(ろっ)行(こう)産直センターの新鮮な野菜を配りながら、自給率向上署名を呼びかけました。

 署名した38歳の女性(自営業、埼玉県行田市)は「スーパーで買うときは国産にこだわっています。国内でも農業をやる人がもっと増えてほしい」と話していました。川崎市の主婦(29)も「スーパーで『千葉県産』なんて表示してあると、うれしくて買ってしまいます。国内のものは安心感がありますね」と快く署名に応じていました。

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茨城産の新鮮な野菜を配って取り組まれた自給率向上署名=新宿駅東口

 中央収穫祭

 最後に新宿農協会館で「中央収穫祭」。労働者トランペッター、松平晃さんによる「ふるさと」でオープニング。日本共産党の紙智子参院議員も激励に駆けつけ、参加者は各地の逸品を味わいながら、交流を深めました。


自給率向上署名46万筆余提出

臨時国会 1件も採択されず

民主党 責任きびしく問われる

 全国食健連は12月9日、内閣府にたいして食料自給率向上を求める団体署名428団体分を提出しました。

 臨時国会には、全国各地から「食料自給率の向上を求める署名」が衆参両院あわせて46万筆以上提出されました。しかし1件も採択されませんでした。その理由は…。

 衆院で民主党は、自民党が委員会を欠席したことを理由に「請願は採択に付さず」との態度をとりました。また参院では、日本共産党を除く各会派が「前文に『輸入を抑制する』ことが入っている」ことなどを理由に、「保留」にしました。

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「自給率の向上を」と強く迫る白石会長(右)

 憲法16条が定める請願権をないがしろにし、国民の願いを無視した民主党や自民党などの責任がきびしく問われます。

(新聞「農民」2009.12.21付)
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2009年12月

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