農地は都民の“宝”
新鮮で安全な農産物の提供、防災機能、憩いの場など都市農地が改めて見直されています。都市農業の振興のためにも、農地の保全と農家の負担軽減は急務です。
都市農業の振興・農地の保全を
農業新発見フェスタ 銀座で新鮮野菜くばりPR
都市農業の振興、農地の保全をめざして、「とうきょう農業新発見フェスタ」が11月29日、東京都中央区の銀座で開かれました。主催は、農地をもつ世田谷、目黒、練馬、大田、中野、杉並、板橋、足立、葛飾、江戸川の10区で構成する「都市農地懇談会」。
主催者あいさつした熊本哲之・世田谷区長は「農地は都民全体の宝。東京の農業を守るために、農業を理解してもらい、力を与えてほしい」と呼びかけました。
各区のマスコットキャラクターも参加し、キャベツ、小松菜、大根など新鮮な東京野菜を配り、「都市農地を守ろう」とPRしていました。
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新鮮な東京野菜をPRする熊本・世田谷区長(右)ら |
中央区に住む野本由美江さん(70)は、配布された野菜を手に「東京で農家がこんなにがんばっているなんて知りませんでした。輸入野菜でなく、東京の新鮮な野菜を食べて、農業を応援したい」と話していました。
都市農地の役割・活用見直しへ
国土交通省の部会で 都市計画法改正を検討中
国土交通省の都市計画部会は6月に「都市近郊や都市内の農地について、新鮮で安心な地産地消の農作物を提供してくれる農業生産機能を中心に、自然とのふれあい、憩いの場、防災機能等の農地の多面的機能を、都市が将来にわたり持続していくために有用なものとして、都市政策の面から積極的に評価し、農地を含めた都市環境のあり方をより広い視点で検討していくべき」とする最終報告をまとめました。
農地守る運動強め世論を広げよう
これは、これまでの市街化区域内農地を宅地や商業用地に変えることを目的にしてきた都市政策を大転換させるものです。全国の市街化区域内農地面積は、9万2800ヘクタールで、そのうち1万4584ヘクタールが宅地並み課税にならない農地課税で相続税猶予制度の対象となる生産緑地として登録されているものの、残りの7万8216ヘクタールの農地は、固定資産税が宅地並み課税で、相続税の猶予制度もない農地となっています。都市の農家にとっては、固定資産税の宅地並み課税と相続税の負担が重くのしかかっており、農地の保全が喫緊の課題になっています。
現在、都市計画部会の都市計画制度小委員会で、都市計画制度の改正を検討していますが、ここでまとめられたものが、都市計画法改正案として提出される予定です。都市農地をきちんと位置づけた都市計画法を実現するために、運動と世論の広がりが求められます。
(新聞「農民」2009.12.14付)
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