独自の町づくり進める綾町(宮崎)で
伝統食列車第18号“走る”
自然生態系生かした
食と農のあり方は?
「日本の伝統食を考える会」の「伝統食列車第18号」が、11月13日から15日までの3日間、宮崎県綾町を走りました。同会の小畑せい子さんにリポートしてもらいました。
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当会の宮本智恵子前代表が死去後、最初の「伝統食列車」は、農民連副会長の村尻勝信さんのご協力を得て、「自然生態系を生かした町づくり」をテーマに宮崎県綾町で行われ、全国から70人余りが乗り込みました。
13日は都農町にある都農ワイナリーを訪ね、工場長から都農町のぶどうのみで生産されているワインづくりについてお話を伺いました。
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いろりを囲み郷土食を楽しむ参加者 |
郷土食で交流
その後、綾町の綾川荘で、「地域の共同で変えよう日本の食―食と農・環境の町づくり、綾町から―」と題して討論会が行われました。食健連事務局長の坂口正明さんを進行役に、6人のパネリスト(「オーガニックごうだ」代表の郷田美紀子さん、「早川農苑」代表の早川ゆりさん、「宮崎・綾スローフード協会」会長で「綾わくわくファーム」代表の濱田倫紀さん、農民連の村尻勝信さん、「大阪自治労連・衛星都市職員労組」前委員長の亀原義明さん、料理研究家の清水信子さん)がそれぞれ問題提起を行い、「食」や「農」を通しての町づくりについて活発な討論がなされました。夕食の郷土食交流会は、かやぶき家屋の囲炉裏(いろり)を囲み、しし鍋や鮎のみそ焼、かっぽ酒などで心も身体も温まるもてなしをいただきました。
照葉樹林も満喫
翌日は、全国一の規模を誇る照葉樹林の学習と散策。「てるはの森の会」のボランティアガイドの案内で、大吊橋を渡りながらまさに地球をまるごと実感するハイキングとなりました。
午後からは、有機農業に取り組んでいる農園や、照葉樹林文化を代表するものとして手紬(てつむぎ)染織工房を見学しました。夜のスローフードde交流会は、“「済ます」から「過ごす」へ”をテーマに、星空のもと、かがり火がたかれた野外で、「まだか漬け」などの綾の郷土食などが提供され、当会の目的である「日本の伝統食の継承・発展と新しい食文化の創造」を実現していく上で、ひとつの試みの場となりました。
最終日は、第21回有機農業推進大会に参加し、「町と村を結ぶ食のふれあい広場」での昼食は、有機農業婦人部のみなさんが手作りしてくれた郷土食を、交流しながら満喫しました。
市町村合併をせず、綾町独自の政策を推進し、自然生態系を生かした食と農、暮らしのあり方も含めた町づくりは、おおいに考えさせられる新たな出会いの「列車」となりました。
(新聞「農民」2009.12.7付)
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