私と農業
食糧の「自給」が目標
全国保険医団体連合会会長 住江憲勇(けんゆう)さん
菜食主義で快調
私は1948年、大阪・交野市で生まれ、眼科医院を開業していました。4年前から保団連会長を務めています。保団連は、全国の医師・歯科医師約10万人の団体で、地域医療を充実・発展させ、開業医の経営を守ることをめざしています。
私自身も健康には気をつけているつもりで、単身赴任で東京に出てきて以来、菜食主義です。会食の場合はそうも行きませんが、ふだんは自炊して、おかずは野菜がほとんど。たんぱく源は豆腐などでとっています。たまに魚は食べますが。
留守宅の家族に心配をかけたくないということが第一です。でも、それと同時に、社会運動にかかわる以上は、長生きして世の中の変革のあかつきを見たいと思いますからね。
保団連は医科と歯科が一体化しているので、口腔(こうくう)の健康を重視しています。食べものの入り口の不具合はあらゆる病気にかかわっています。そして、歯周病などは食生活の影響がとても強いと思うのです。
「医食同源」という言葉があります。私も開業時代は不規則な食生活でしたが、いまは菜食にして身体も快調です。毎朝20キロのサイクリングをして、朝ご飯をしっかり食べる。1日の活力のためにはしっかり食べなくては。
いまの人たちは、もっと食に執着する必要があると思います。肥満に悩んでいる人などはぜひ自炊して、徹底してコントロールすることをすすめます。
野菜の成長みて
大阪の自宅の庭では、野菜を作っています。今年は、トマト、ゴーヤ、キュウリ、枝豆…。ほぼ2週間ごとに帰りますが、そのたびに成長を確かめるのは、ほんとうに楽しみです。何時間見ていても飽きません。
70歳を過ぎたら近郊の農村に転居して「農」に専念したいと考えていて、もう物件を探しています。子どもや孫に無農薬野菜を供給するくらいの「自給率」が目標です。
社会の根幹なす
農業は、社会の根幹をなす産業分野だと思いますが、それがないがしろにされてきたことには、ずっと強い疑問を持ってきました。
テレビが普及しはじめたころ、子ども心にも衝撃を受けたニュースは、炭坑爆発や漁船の遭難などの痛ましい事故、また集団就職で郷里を離れる人たちの姿でした。そして、その背景には農村の疲弊があるのではないか、農業で暮らしが立たなくなった人たちが、新産業建設の犠牲になっているのではないか、と感じていました。
いままた、新自由主義、構造改革の政治路線が農業に困難を強いています。医療や社会保障の制度も崩壊させられようとしています。しかし、暮らしを破壊するこの路線から決別したいという国民の切実な思いが、先の総選挙の結果に示されました。私たち保険医の要求を実現するためにも、農民連のみなさんをはじめあらゆる分野の人たちと結びつきを強めて、運動をさらに発展させたいと願っています。
(新聞「農民」2009.12.7付)
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