「農民」記事データベース20091207-904-10

農民連元代表常任委員・小林節夫さんの

『試論 ペンと戦争』
『山は青く、水は清き』
発刊に寄せて

福島・会津農民連前会長 前田 新


 小林節夫さんは、これまで自らがたたかった農民闘争と運動のナショナルセンターとしての農民連結成への軌跡をつづった『怒りの炎―農、星霜と夢』と、宮沢賢治論『農への銀河鉄道―いま地人、宮沢賢治を』を発刊されている。いずれも小林さんのほとばしる情熱と確固たる信念に感動し、同時にその感性豊かなバイタリティーに鼓舞されたが、その続編として『試論 ペンと戦争』と『山は青く、水は清き』が、2冊セット本として福島県のSEEDS出版から発刊された。

 『山は青く、水は清き』は、『怒りの炎―農、星霜と夢』の下巻に当たり、農民連の初代の全国代表として各地を訪ねた貴重な記録的エッセー集である。十数年にわたって書きつづられ、今なお未完だが、その内容は、全国の農民の生活の実態とそこで主体的に取り組まれる活動とともに、伝統として営まれる民俗芸能や習俗が活写される。まさに風土と一体化して情操豊かに暮らす農民の息づかいが伝わってくるものである。

 『試論 ペンと戦争』は、『農への銀河鉄道』の続編として書き出されるが、その契機は『イーハトーブと満州国』というわが国の中国侵略政策を美化するために、宮沢賢治の理想郷思想がねじ曲げて論評されたことに対する怒りの反論であった。そして、さらにファシズムに加担した戦前、戦中の作家を、「ペンと戦争」というテーマで論じたものである。

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みほん市で本の紹介をする農民連前会長の佐々木健三さん

 戦後の池田・ロバートソン会談から教科書検定へ、そして憲法9条の改悪へと向かう反動へ、農民としていま、どう立ち向かうべきか。それはまた運動の原点を問うものである。

▼定価 4000円(AB判・2冊組)
▼注文・問い合わせ先 SEEDS出版 TEL 024(597)6800

(新聞「農民」2009.12.7付)
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2009年12月

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